「19浪で九州大」心病まずに挑戦し続けられた理由【再配信】 共通一次とセンター20回挑戦、学費工面の日々
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 8時0分
マイペースでのんびり屋さんの性格がよかったためか、メンタルが落ち込んだり、人生が嫌になったりすることもなく浪人生活を続けられた山田さん。
しかし、19年間続いた受験生活もついに終わるときが来ました。
19浪目、山田さんは2004年に受けたセンター試験で自身最高の770/900点を叩き出しました。この年も前期日程で東大を受験しますが、受験生活20年目にして初めて、後期で九州大学工学部電気情報工学科に出願しました。その理由は、自身ではなく、家族の状況の変化が大きかったようです。
「母親がもう高齢になっていて、19浪目の年に病気になってしまいました。それで、この年でもうそろそろ大学に入らないといけないと思い、初めて後期日程で出願しました。東大はこの年も不合格でしたが、九州大学には合格したので入学することを決めました」
20年間、受験生活を続けてきて初めて掴んだ大学の合格。喜びもひとしおかと思いきや、感動はなく、「ようやく区切りがついたか」という感じだったようです。
1浪〜19浪までずっと亀戸の4畳半の物件に住み続けた山田さん。彼は今、自身が大学に落ち続けた理由を「勉強が足りなかった」と振り返ります。
「東大に合格するための学力が足りなかったのは、勉強量が足りなかったことに尽きます。アルバイトをしながらの勉強だったので、毎年、センター試験の直前になると、夏休みの宿題を最後にやるように、慌てて勉強していました。でも、根を詰めてやらなかったからこそ、一回も勉強が嫌いにならなかった、というのはあると思います」
19歳年下の同級生と寮で過ごす
九州大学に入ってからの山田さんは、金銭面の節約のために、家賃月5000円の田島寮に入り、19歳下の同級生と大学生活を過ごしました。
「新入生なのに、入ったときから最上級生扱いをしてもらって肩身が狭かった」と語る一方で、親子ほど年の離れた学生との共同生活は「めちゃくちゃ楽しかった」と振り返ります。
充実する大学生活の中で、山田さんは大学1年生のころから集団授業の塾でアルバイトをするようになり、2年の留年を経て卒業してからも合計13年間、非常勤講師として勤務しました。
そして介護を続けてきた母親が亡くなった51歳のタイミングで1年間、カナダに留学をし、日本に戻ってきた現在は高校生相手に塾で指導をしています。
山田さんは浪人したことによって、精神面や性格面で「変わったことは特にない」とは語りますが、浪人してよかったことについては「どんなに失敗しても、立ち上がれることを生徒たちに伝えられること」と話してくれました。
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