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世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ

東洋経済オンライン / 2024年12月28日 18時0分

21世紀の世界――とりわけ、宗教、科学、文化に深い影響を与えてきたのは西洋哲学です。その西洋哲学も振り子のようになっていて、いわば「理想追求」と「現実立脚」という2つの考え方がずっと対立してきました(写真:viola/PIXTA)

ウクライナ、中東が戦火に見舞われ、各国で政治的分断が生じるなど世界が混乱するなか、私たちはどう生きていけばよいのか? 『日本人が学ぶべき西洋哲学入門 なぜ、彼らはそう考えるのか?』(ジェイソン・モーガン氏との共著)の著者でノンフィクション作家の茂木誠氏が、混沌の時代を生き延びるための哲学について掘り下げます。

2024年日米選挙に見る世界の分岐点

2024年11月、アメリカの大統領選挙はトランプ氏が勝利して終わりました。日本でも10月に衆院選が行われましたが、これらの日米の選挙で問われたことは同じテーマだと考えています。

「世界を美しい理想に向かって高めていこう」という考え方が一方にあり、他方に「人間の社会はそう簡単に変わらない。現実は頭で考えた通りにはいかない。だから、今の社会を急に壊すことなく、少しずつ修正していけばいい」という考え方があります。世界では今、この2つの立場の間で衝突が起こっています。

その証拠にアメリカでは、大統領選で高い理想を掲げてきた民主党や共和党の一部が、行き過ぎた理想だけでは世界は円滑に回らないと主張するトランプ氏を中心としたMAGA運動(Make America Great Again:アメリカを再び偉大な国にする)と熾烈な戦いを繰り広げました。

一番わかりやすい例が移民問題です。オバマ政権以来、アメリカ民主党の移民政策は移民の受け入れに寛容で、南米や中東をはじめ世界中から移民が殺到しています。「多文化共生」は確かに理想的です。

しかし現実には、不法移民が後を絶ちません。彼らにまつわる犯罪――性犯罪、麻薬、人身売買などが増加しアメリカの治安が悪化しています。不法移民の受け入れの取りやめを掲げたのがトランプ氏で、1期目の大統領任期中にはメキシコとの国境に巨大な壁を作って不法移民の流入を食い止めました。

「理想を掲げて急に推し進めようとしても、逆に、別の問題が起こってくる」――実際に世界を見渡すと、トランプ氏のような主張を掲げる政党はまだ非主流派とはいえ、これが今の世界の大きな枠組みです。

理性主義が西洋世界を拡大させた

21世紀の世界――とりわけ、宗教、科学、文化に深い影響を与えてきたのは西洋哲学です。その西洋哲学も振り子のようになっていて、いわば「理想追求」と「現実立脚」という2つの考え方がずっと対立してきました。古代ギリシア時代、理想の世界は天国のようなイデア界にあると説いたプラトンと、万学の祖とされ、現実から検証しようとしたアリストテレスを想像すれば理解しやすいでしょう。

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