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国家を束ねる「正統性」を失った各国指導者たち 4分の1が過ぎる21世紀、国家を束ねる指導者が消えた

東洋経済オンライン / 2024年12月28日 8時0分

かつて私は今のクロアチアの首都ザグレブ(アグラム)に住んでいたことがある。オスマントルコがウィーン包囲に失敗し、1699年にオスマントルコとオーストリア、ポーランド、ベネツィアが結んだカルロヴィッツ条約によって西欧勢力が盛り返す直前、この都市はウィーン側にあってなんとか持ちこたえていた。

ザグレブのすぐ東がオスマントルコであり、そこから東が始まるとすれば、バルカンより東が東ということになる。

ところが今EUといわれている地域はブルガリアまで入った。通常この地域も西欧ということになり、トルコから先が東ということになる。

しかしトルコは、その一部はバルカン半島にあり、EUに入りたいと思っている国でもある。

西欧はキリスト教国というのなら、トルコは入らない。そうだとすると正教会のウクライナやロシアは西欧といえるのだろうか。

ロシアや南アメリカは西欧か

少なくともロシアは今では西欧だと思っておらず、非西欧のグループの中に入ろうとしている。

新大陸アメリカもキリスト教布教の地として西欧であるとしても、メキシコ以南の中南米はキリスト教国だが、西欧と言えるのか。これらの地域の宗主国であったスペインの位置取りは、非西欧と西欧の交差点という位置取りだ。

太平洋に目をやると、西欧化の道をひたすら歩んできた日本を除いて西欧だと思っている国はない(日本も内心はそう思っていないはずだ)。中東やアフリカ、中南米、東アジア、東南アジア地球のほとんどの地域は非西欧だと思っているはずである。

東西問題は、今では対立の要素が強くなっている。かつては宗主国と植民地、半植民地の関係にあった。やがて先進国と後進国との関係となり、今では衰退する先進国と、勃興するニューパワーとしての新興国という関係である。

G20(主要先進国20カ国)あるいはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)などといわれる新興国は、今後ますます先進国にとっての脅威となるだろう。

経済力において政治力において、さらには軍事力においても、これらの国の勢いは増大することはあれ、減少することはないだろう。

だからこそ「鉄は熱いうちに打て」、今のうちに東の国々をたたいておこうという、東西の雌雄を決める対決の問題となっている。

戦後70年以上、アメリカを中心とした西欧の価値体系が世界を覆ってきたが、今ではその価値体系が危機に瀕している。日本を含めた西欧世界の衰退は、ある意味価値の体系、知の体系の崩壊を意味するのかもしれない。

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