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人生がうまくいく人がやっている「割り切る」習慣 「年を取ると不幸になる人たち」の共通点とは?

東洋経済オンライン / 2024年12月29日 18時0分

心理学を経済学に応用した学問に、行動経済学というものがあります。

行動経済学の中で最も人気があるのが、「参照点」という理論で、人間の幸福度は、参照点によって決まる……と考えることができます。自分の参照点を認識すると、生き方の新たな「基準」になります。

参照点とは、人が価値判断をする際の「得と感じるか、損と感じるか?」の基準点を指します。

例えば、何かのプロジェクトに成功して、会社から10万円の金一封が支給されることになったとします。何も期待していなかったところに、10万円の金一封がもらえたとしたら、この場合の参照点は「0円」となります。

そのプロジェクトが予想以上の成果を納めて、一時は「20万円の金一封が支給されるらしい」という話があったものの、最終的には10万円に減額されて支給された場合の参照点は「20万円」ということになります。

どちらの場合も、10万円の金一封が支給されている事実は同じですが、前者であれば、素直に「得をした」と感じるものの、後者のケースでは、何となく「損をした」ような気分になります。

実際には、何も損はしていませんが、同じ10万円をもらっても、参照点によって、受け取り方や印象に大きな違いが出るのです。

不幸と感じたり幸せと感じたり…

人間は、自分が設定した参照点を下回ると、自分が不幸だと感じ、わずかでも上回ると幸せだと感じるものなのです。

私がたくさんの高齢者を診ていて感じるのは、年齢を重ねたら参照点を下げたほうが、幸せの基準が下がって、心が満たされるということです。

大金持ちだったり、異性にモテたり、出世街道を一直線に突っ走ってきたような人は、昔の自分と比較して、今の自分をみじめに感じてしまいます。

その一方で、昔はお金がなく、異性にも相手にされず、納得のいかない人生を送ってきた人は、高齢になって特別養護老人ホームに入っても、快適な部屋で過ごせることや、美味しい食事に感謝して、人生の最後に大きな喜びを感じることができます。

幸せの価値観は人それぞれですが、参照点を低くすれば、ささやかな出来事に幸せを感じ取ることができるのです。

和田 秀樹:精神科医

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