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流行語が「死語」にならず世代を超えて定着する条件 「真逆」「夜ご飯」もかつては一般的ではなかった

東洋経済オンライン / 2024年12月29日 16時0分

「み」がつくのは形容詞だけではありません。「わかる」という動詞に「み」がついた「わかりみ」という語が若い世代のあいだで広まっています(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「やばい」や「それな」などを「若者言葉」と言いますが、新しく作られた言葉だけでなく、もともとあった言葉と違う意味で使う場合などさまざまで、ほかの世代には通じないことが多くあります。

新著『言語学者も知らない謎な日本語』は、「若者言葉」について、国立国語研究所教授の石黒圭さんが大学生の娘たちとの対話から得た学びの記録です。

本稿は、同書より一部抜粋、再構成のうえ3回にわたってお届けします。

第1回『「えぐい」「やばい」「すごい」で見る言葉の“浸透度” 全部ほぼ同じ意味だが“発展段階”が異なる』

共感できる「わかりみ」!

父:まだ5月なのに、最近はずいぶん暖かくなったなぁ。

長女:そうだね。

父:この前、蚊の「プーン」という音を聞いて、ゾッとしたよ。湿気も感じるようになって、夏が来る前にバテてしまいそうだ。

長女:それめっちゃわかる。

父:このまえはついにノースリーブで出かけてしまったよ。今の時期から日焼け対策しておかないとダメだし、気が重いな。

長女:わかりみが深い。

父:さっきからその適当な返事は何だ?

長女:ほら、私たち気の置けない仲だからね。

父:人の話聞いてないなら、窓閉めて暖房つけようかな。

長女:やめて、溶けちゃう。てか、お父さんこそ日焼けしてボディビルダーになるくらいの気概でいなきゃ。

父:さすがに50代にそれは酷だよ。

長女:その50代がノースリーブはちょっと……。

父:……それは置いておこう。そういえば「わかりみが深い」って初めて聞いたな。よし、例文だ!

長女:そのまんまなんだけど?

父:今日の長女は反抗的だな。

長女:それは、お父さんが私の分のアイス食べちゃうからでしょ。

父:食べ物の恨みは怖いな。じゃあ、今度ハーゲンダッツを買ってやるから。

長女:ならよし。例文としては、「桜見て感動! 感激! 感涙! まではいかなくても、春になると、ふとお花見したくなるよね」「それな。わかりみが深い」などなど。

父:確かに花見は毎年行くなぁ。

長女:でしょ。こういうときに「わかるわかる」「めっちゃわかる」「大いに共感する」というニュアンスで使うよ。

「食べたみ」の使い方は?

父:他にはあるか?

長女:似たようなものだと「食べたみ」かな。

父:そんなものまであるのか。

長女:これだから昭和は。

父:うるさいぞ。

長女:ちなみに例文は「私が大事にしていたアイス、もうなくなっちゃったな。テストのごほうびとして、なけなしの財産はたいて1週間前から楽しみにしてたのになあ。せっかくテストがんばったのに。アイス食べたみすぎる」。

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