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資さんうどん、「北九州のうまさ」で狙う列島制覇 創業者の死を越えて、うどん一杯に込めた本気

東洋経済オンライン / 2024年12月29日 7時45分

九州を飛び出した資さんうどん。関東でも独自の味で攻勢をかけられるか(記者撮影) 

平日14時過ぎ、北九州市中心部にある「資(すけ)さんうどん魚町店」は多くの客で混みあっていた。ランチ利用のサラリーマンから、おしゃべりを楽しむ4人組の女性客など、幅広い層が利用していた。

【写真】看板商品の肉ごぼ天うどん。九州特有の柔らかい麺や甘いだしがなんともおいしそう

資さんうどんは北九州を中心に展開するうどんチェーン。柔らかい食感、甘めの出汁が特徴のうどんが主力商品だ。そばやカレー、かつ丼、おにぎりなども展開し、おでんやぼた餅などのサイドメニューも充実している。

資さんは10月、ファミレス最大手のすかいらーくホールディングスが買収し再出発。今後はすかいらーくと連携し、全国展開に打って出る。

専門性と安さも備える「資さん」

大西章資(しょうじ)氏(当時33歳)が1976年に創業し、北九州のソウルフードへと成長した資さん。店名は大西氏が自身の名前から一字を取り、親しみやすいように名付けたものだ。

資さんは2012年に福岡銀行系の投資ファンド傘下に入り、その後の2018年にユニゾン・キャピタルが株式を取得していた。

ユニゾンが出口戦略を模索していたことに加え、資さんも外食チェーンとして、店舗網を広げるノウハウが必要だった。そこで2024年夏ごろ、ユニゾンの担当者は複数の大手外食企業の幹部と面談。資さんの業績や店舗数の伸びなどを説明し、感触を探った。

その中で興味を示したのがすかいらーくだった。同社が進める店舗戦略に合致していたことが理由の一つだ。

すかいらーくはガストなどのファミレスから、専門性があり客単価の高い「しゃぶ葉」などへ業態転換を進めている。1200店舗を超えるガストは自社競合が発生し、出店から時間が経過した店舗は客層の変化、客数の減少といった問題も抱えていたからだ。

資さんはうどんという専門性があり、価格もガストより安いメニューも多い。業態転換の候補として魅力的だった。

資さんはすかいらーく傘下でどのように全国展開を進めるのか。すでに関西は大阪や兵庫、広島に出店済み。12月には関東初となる店舗を千葉・八千代市で開店。2025年2月には東京・両国にも出店する予定だ。

出店地域は大幅に広がるが、佐藤崇史社長は「基本的に、大事にしてきた味やサービス、店づくりは変えるつもりはない」と言い切る。うどんはもちろん、これまで積み上げてきた多様なメニューの構成にも自信を持っているようだ。

一方で、佐藤社長は「店舗のオペレーションはもう一段の進化が必要だ」とも語る。すでに注文用のタブレット端末は全店舗に導入。席を自動で案内するシステムも関西で導入した。新店などで案内が遅いことについて、客からのクレームが多かったからだ。そのほか、キッチンやレジ周りでも改善を進めていく構えだ。

北九州の地元では「資飲み」利用も

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