「図解と文章」の伝達力の違いを"図解"してみる 1度で理解できないような文章は「悪文」である
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 18時0分
学校教育の場では、難解な文章の読解など、「文章を中心とした教育」が行われていますが、「仕事のメインツール」として考えると「文章の力」には疑問があると、多摩大学名誉教授の久恒啓一氏は指摘します。
そんな久恒氏が実際のビジネスシーンで推奨する、「文章」よりも威力を発揮する「図解」によるコミュニケーションの概要を、同氏の著書『仕事ができる人になる 図解の技術 大全』から、一部を抜粋・編集して解説します。
「文章が書けること=能力が高い」は本当か
表現の方法としては、人間の脳が認識しやすいような方法で情報を提示することが最もすぐれた方法であるはずです。そう考えると現在の仕事のメインツールといってもよい「文章の力」について疑問が湧きあがってきます。
もともと人間は文章でものを考えているのでしょうか。
学校教育の場では、文章至上主義とでも形容したいほど文章を中心とした教育が行われています。難解な文章を読まされて、「それ」や「これ」という代名詞が何を指すかというような読解力が大事な力とされています。
教科書や試験に出てくる小説や評論などの文章は難解であり、それを読みこなせない自分の力量を反省させられます。しかし、1度読んで理解できないような文章は、悪文ではないでしょうか。
日本では「文は人なり」という言葉に代表されるように、知識人の条件は文章が書けることであって、いまでも変わりはありません。
文章にケチをつけられると、書いた本人は人格を否定されたように感じてしまいます。上司であれば、そして地位が高ければ、文章を修正する権利がある。偉くなるということは給料が上がるだけではなく、部下の文章を自由に直す権利を得ることだともいえます。
文章をめぐる上下のトラブルは日本のあらゆる組織に存在しています。ここで日常的に起こるコミュニケーション・ロスは、日本の組織の力を3割程度弱めているのではないかと私は見ています。
さて私の二十数年のビジネスマン人生を振り返ってみると、「できる上司」は文章に造詣が深いタイプもいましたが、キーワードの設定力が高かったり、図で指示を出すというタイプが多かったように思います。
私の場合、幸いなことにこうしたレベルの高い上司に何人かめぐり会って、「図でものを考える」という習慣がつき始めました。そして実際に自分が上司の立場になり部下とのコミュニケーションに心を砕くようになると、この方法は伝える側と伝えられる側の双方にとって有効であることを確認し、しだいに自分のスタイルとなって定着してきました。
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