インドの沙漠で痛感した日本人のヤバい「劣化」 電気まみれの生活で日本人が失ったものとは
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 9時30分
多様性の時代、文化人類学の必要性がだんだんに認知されるようになってきました。本稿では一人の人類学者が「自分壊し」の旅に出た顛末をつづった『ヘタレ人類学者、沙漠をゆく』より、沙漠での狩で感じた「電気に支配された日本人」が失ったものについて解説します(一部抜粋・再構成しています)。
驚くほど目がいいインド人
彼らの生活を観察していくなかで驚かされたことはたくさんある。その1つに、沙漠で暮らす人々の身体能力の高さがある。まず、彼らはとにかく、目がいい。
沙漠では、ラクダが生活必需品だ。何かを運ぶにも、どこかへ移動するにも、観光客を乗せて歩くのにも、ラクダがいなければどうにもならない。また、立派なラクダを所持していることとか、毛並みや装飾が見事であることとか、何頭持っているかなどが、社会的なステータスをあげたり、家族やコミュニティの誇りとなったりする。
しかし、沙漠の民たちはラクダを、僕らが飼う犬のように鎖で繫いだり、犬小屋に閉じ込めたりしない。両足にゆるい足輪(手錠ならず、足錠とでもいうのか)をはめて、放し飼いにするのだ。
この足輪は歩くスピードこそ弱めるが、その緩さゆえに、ラクダの移動を可能にする。夕方になって集められたラクダたちは、足輪をされて放置される。その後彼らは、左右の前足を(足輪の小さな緩みを利用して)前後にこまめに動かしながら、トテットテッと好きな方向に歩き始める。どこに向かうのかは、風まかせ。夜も暗くなってくると、もはや自分たちのラクダがどこに移動してしまっているかは、わからない、はずだった。
ある時パーブーが密造酒のグラスを傾けながら、深夜に尋ねてきた。
「コーダイ、いまラクダがどこにいるかわかるかい?」
その日は新月。沙漠は真っ暗闇に沈んでいて、星の光は瞬いているが、地面は静かな風の音がたゆたうばかり。光を発するものなど、ほぼ何もない。
「こんなに真っ暗じゃ、わかるわけがないだろう?」
と告げると、その場で火を囲んでいた5〜6名の男たちが、一斉に笑い出した。
「わからないだって? ハハッ!! さすがにジャパーニー(日本人)だ。どこに行ったって電気まみれで、夜なんて経験したことがないんだろうよ!」
日本は「電気に支配された国」と思われている
彼らは、「メイド・イン・ジャパン」という言葉だけは知っていて、日本といえば全部がテクノロジーに侵され、電気に支配された国だと思っている(そして、それはあながち間違っていなかったりする)。
この記事に関連するニュース
-
インドでは「排泄行為」がとんでもなくカッコいい 日本人のようにコソコソトイレに行かない
東洋経済オンライン / 2024年12月30日 9時40分
-
インドでほぼ確でボラれる日本人「歩き方のクセ」 なぜ「騙しやすい奴」と思われてしまうのか
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 15時0分
-
「クリパの翌日に」死んだ愛猫の腸内にあった異物 イヌや鳥も…年末年始にペットの死が多い理由
東洋経済オンライン / 2024年12月15日 8時0分
-
なぜネコ科はイヌ科より強いのか? それは孤高か集団かの選んだ進化の道の違いが生み出したものだった
ニコニコニュース / 2024年12月12日 18時0分
-
「面白すぎる!」と各界で話題に!常識をくつがえす体験と視点が詰まった一冊。『ヘタレ人類学者、沙漠をゆく』発売(12/14)。
PR TIMES / 2024年12月12日 11時15分
ランキング
-
112キロ痩せた保健師が食べている「コストコのダイエット食材」ベスト10!2位は塩サバ
女子SPA! / 2025年1月8日 8時46分
-
2「企業年金」は終身でもらえるものですか?
オールアバウト / 2025年1月8日 8時10分
-
3アパレル関係者は絶対に買わない「セールでお得に見えても避けるべきアイテム」
日刊SPA! / 2025年1月8日 8時54分
-
4自分の免疫力を過信してる夫の“ありえない行動”でせっかくの正月が台無しに「舐めきってる…」
女子SPA! / 2025年1月8日 8時47分
-
5F-35用の最新空対空ミサイル 日本政府が購入へ“驚愕の数”かつてない規模での売却契約に
乗りものニュース / 2025年1月7日 15時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください