2025年の日経平均が最高値を更新する2つの理由 「割り負けていた内需系企業の逆襲」の期待も
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 15時0分
実際、日銀が2024年12月の金融政策決定会合で利上げを見送るとする観測記事が報じられて以降、ドル円レートは1ドル=150円近傍から155円近傍へと上昇し、12月19日に利上げ見送りが決定されると157円台までドル高が進み、輸入物価の上昇圧力として作用している。
なお、筆者は以下の5つの理由から12月の利上げを見込んでいた。
- (1)アメリカ経済が景気後退を回避するとの見通しが支配的になった
- (2)消費者物価上昇率が2%を上回って推移
- (3)為替も円安傾向
- (4)個人消費が「(日銀が評価する通り)緩やかな増加基調」
- (5)2025年春闘が、2024年ほどではないにせよ高い伸び率になると見込まれる
だが、こうした材料がそろったにもかかわらず、日銀が利上げを見送ったということは、結局のところ筆者が想定していたよりも日銀はハト派だったということに尽きる。実際、植田和男総裁の記者会見はかなりハト派であり、総裁会見における自身の発言が円安を招くことを恐れていないようにも感じられた(事実、総裁会見中に円安が進行した)。
インフレ率を拡大させ得る要素は、人手不足を理由とする構造的な賃金上昇、それに伴う物流費上昇など副次的なインフレ圧力、そして円安による輸入物価上昇など数多くあるが、日銀がインフレを抑え込もうとする気配はあまり感じられない。
話を日本株に戻すと、筆者が注目するのはインフレの影響を除去“しない”名目GDPである。通常「経済成長率」と言えば、特段の断りがない場合は実質GDPを指すが、名目値である株価を読むうえで重視すべきは名目GDPである。
ここで第一生命経済研究所のGDP成長率の予測値は、2024年度の実質GDP成長率がプラス0.3%にとどまるのに対して、名目GDP成長率はプラス2.9%と高い伸びになると見込んでいる。2025年度は実質GDP成長率がプラス1.1%と潜在成長率を上回る伸びが期待され、名目GDP成長率はプラス2.3%となっている。
名目GDPと株価の相関性は一目瞭然
デフレ下の日本では「実質>名目」という名実逆転が頻繁に起きたが、2022年以降は「名目>実質」の構図、すなわちGDPデフレータのプラス圏推移が明確化している。
日本株が長期停滞に陥った1990年代~2010年代前半までは、デフレによって名目(金額ベース)の経済規模が膨らまなかった。これは名目GDPと企業収益や株価を同じグラフに描くと、一目瞭然である。名目GDPは1992年に500兆円を越した後、1990年代からゼロ成長状態となり、その後は2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災によって500兆円を割れた。
この記事に関連するニュース
-
トランプ大統領就任で「円安が加速する」根拠 金融政策で円の価値を上げるのは無理筋
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 7時30分
-
2025年、世界経済と金融市場のキーワードは「緩やか」 一方、トランプ政策次第でどう変わる? 楽天証券経済研究所・愛宕伸康氏に聞く
Finasee / 2024年12月26日 12時30分
-
焦点:日銀、中立金利「1%に届かない」見方も 経済・物価の加速弱く
ロイター / 2024年12月19日 19時29分
-
ドル/円年内157円も? 強気FRBと弱気日銀で円安予想強まる
トウシル / 2024年12月17日 9時58分
-
新年相場に備えよう!「2025年注目テーマ」総予習 "押さえるべき要点"を永濱エコノミストが解説
東洋経済オンライン / 2024年12月9日 7時40分
ランキング
-
1日本製鉄、USスチールの買収巡り提訴…バイデン大統領の「禁止命令」の無効求める
読売新聞 / 2025年1月6日 21時21分
-
2とにかく服のシミが取れる「スポッとる」が累計80万個以上のヒット 小売店から門前払い、「3000個の全返品」乗り越えた過去
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月4日 8時10分
-
3「なぜ売却したいのか」=USスチール買収で―トランプ次期米大統領
時事通信 / 2025年1月6日 23時39分
-
4パロマ持ち株会社、富士通ゼネラルを2560億円で買収へ 7月にTOB開始目指す
カナロコ by 神奈川新聞 / 2025年1月6日 21時30分
-
5為替相場 7日(日本時間 7時)
共同通信 / 2025年1月7日 7時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください