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「奄美にあるハブ屋」使用禁止Xデーに向けた対策 時流読み変化続けるハブ屋のビジネス(後編)

東洋経済オンライン / 2025年1月1日 9時1分

それを必要に応じて自治体から買い取り、加工品を作っている。そのスタンスを明確にするために、奄美大島に生息する無毒ヘビ・アカマタを使った商品をやめる決断もした。

商品コンセプトをつくった理由はもう1つある。将来、環境保護や動物愛護の流れがさらに大きくなれば、ハブ皮やハブ骨を使えない未来がやってくるかもしれない。「ハブ製品」の定義を広げて、ハブそのものを使わない商品も増やしたほうがいいと考えたのだという。

「ベジタリアンやヴィーガンという概念が出てくるのなら、ハブ皮が禁止される“Xデー”がやってきてもおかしくないと思いました。そこまで心配しなくてもと言われることもありますが、いまの時代、何がどう転んで自分たちのビジネスに影響するかわかりません。できる対策だけはしておこうと思いました」(長男・武臣さん)

ステッカーやTシャツ、LINEスタンプも

武臣さんたちは、奄美のハブにまつわる歴史や文化に着想を得た商品、ハブがテーマのコンテンツ商品も「ハブ製品」と定義。ハブを使わない商品の開発を進めた。ステッカーやTシャツ、カードゲーム、コミック、LINEスタンプなどといった広義のハブ製品を続々と生み出している。

「原ハブ屋は少人数のため、商品数を十分に揃えられないのが長年の悩みの種でした。でも、商品コンセプトを設定してハブ製品の定義を広げたことで、外注できる商品が生まれ、ハブそのものを使った革製品やアクセサリーが少ない時期にも棚が寂しいということがなくなった。在庫が復活するまでの時間稼ぎができるようになりました」(長男・武臣さん)

商品コンセプトをつくってから12年後の2018年、武臣さんたちの心配を裏づける出来事があった。仏のラグジュアリーブランド「シャネル」が、ヘビやワニなどの革を指すエキゾチックレザーの使用廃止を発表したのだ。

「ああ、やっぱりそうなったか、と思いました。これからも奄美のハブの歴史や文化を落とし込んだ商品、コンテンツ商品に力を入れていくつもりです」(長男・武臣さん)

武臣さんたちは「3桁商品」の品揃えにも力を入れている。ハブ革やハブの骨を使った商品は人件費がかかっているだけに価格を1000円以下にするのが難しい。しかし、店にやってくる子どもたちにも本物のハブに触れてほしいという思いから、数百円で買える商品を増やしている。

「大人向けの商品で固めるやり方もあると思いますが、うちは奄美に旅行に来た家族連れが子どもから大人までみんなで楽しめる店にしたい。そこで200円台から買えるお守りのようなリーズナブルな商品を増やしました。

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