韓国航空機事故が起きた空港が抱える4つの問題 堤防の存在、滑走路、鳥、国際線に不慣れ…
東洋経済オンライン / 2025年1月1日 14時0分
2024年12月29日、韓国南西部・務安(ムアン)空港で、韓国LCC大手のチェジュ航空が着陸に失敗し、乗員乗客181人のうち179人が死亡した事件では、同空港の構造が大きな人命被害をもたらしたとの指摘が相次いでいる。
事故を引き起こした問題として、①滑走路の先にあった土手がなぜあったのか、②他の空港より滑走路がなぜ短いのか、③空港一体はもともと鳥の飛来地だったがバードストライク瓦当然予想されていたのではなかったか、④管制塔など国際線就航には施設面で十分ではなかったのではないか、というものだ。
滑走路の先にあった堤防
事故機は務安国際空港の外壁と衝突して事故を起こしたが、外壁の前にはコンクリートの堤防があった。旅客機は全壊したが、堤防は大きく崩れなかった。
もしコンクリート堤防がなかったり、壊れやすい構造物であったなら、このような大惨事には至らなかったという指摘がある。
務安空港は生まれながらにして不安を抱えた空港だった。四方が渡り鳥の飛来地であるため、建設当初から鳥が衝突するとの懸念が大きく、また滑走路の長さは2800メートルで国内空港の中では短いほうだ。
また、定期国際線路線は2024年12月から就航した、国際線では「初心者」の空港だった。
これまで、バードストライク(鳥の衝突)による機体損傷が有力な事故原因として挙げられている。しかし、空港自体がいつ事故が起きてもおかしくないほどの構造的な問題を抱えていた。
事故機が衝突したローカライザー(着陸誘導安全施設)は、航空機に滑走路の位置を知らせる施設だ。航空障害物管理詳細指針第23条第3項は「空港敷地内にあり、障害物とみなされるすべての機器や設置物は、壊れやすい台座に取り付けなければならない」と規定している。
ところが務安空港のローカライザーは土を積んで作った、高さ2メートルほどの固いコンクリートの堤防の上に設置されており、設置規定とは別物だった。
これについて韓国・国土交通省は、ローカライザーが縦断安全区域の外にあり、安全基準や設置基準を適用されないため、規程違反ではないと説明している。
しかし、「終端安全区域をローカライザーまで延長しなければならない」という設置基準があるのにもかかわらず、そうしていなかったのは規程違反ではないかとの指摘が出ると、国土交通相は12月31日、「規程関係を再検討している」と一歩後退した。
滑走路が短かった?
滑走路の長さは事故の原因になるのか。務安空港の滑走路の長さは2800メートル。韓国内の仁川(インチョン)国際空港(3750〜4000メートル)、ソウル・金浦(キムポ)空港(3200~3600メートル)、釜山(プサン)金海(キメ)空港(3200メートル)などは、務安空港より滑走路が長い。
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