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92歳女性が「老人ホーム入居の夢」をあきらめた訳 老いの現実を知り、上手に付き合うためのコツ

東洋経済オンライン / 2025年1月2日 7時0分

そのためには、外に出かけていかなければなりません。趣味の習い事でもいいし、勉強会でもいいのです。月に1回や、週に1回の予定をカレンダーに書き込むだけでも、やる気が出てくるのではないでしょうか。

とはいえ、いつも、やる気満タンでいるわけにはいきません。そこは疲れない程度に調整しながらやっていくのがいいのです。

億劫を否定するのではなく、老いの自覚をもちつつ、ある程度は受け入れたほうが、自分の身を守ることができます。

負担になる家事は人に頼みましょう

負担になってきた家事などは、人に頼むというワザを使いましょう。私の場合は、週に2日、シルバー人材センター[注2]の人に来てもらい、食事作りと、掃除、洗濯をしてもらっています。

最初は代金が割安なのがいいと思いお願いしたのですが、スタッフは地域に住んでいる人たちなので、知っている先生がいた学校のことなど、共通の話題があるのです。親近感が湧いて、いまではとても心強く思っています。

それに、皆さん家事のベテランです。食事はおいしく、部屋はすっきり清潔にしてくれます。

億劫に立ち向かいながらも、苦しい部分は無理をせずに人にお願いしながら、上手に老いとつき合っていく。その億劫を自分だけ、家族だけで解決しようとしないこと。これは、人生100年時代を生き抜く知恵の1つです。

家事を、家族以外の人の手を借りて解決することを可能にする、世の中の仕組みも徐々にできつつあります。

食事に関しては、コンビニには少量パックのお惣菜がいろいろあるし、宅配のお弁当も便利です。お財布に余裕があれば、家事代行サービスを利用するのもいいでしょう。

それらを利用し、家事や調理をアウトソーシングすること自体、働ける人が働けない人を助ける仕組み作りに貢献します。

高齢になればなるほど、自助より共助が大事なのです。

注2:シルバー人材センター:「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に定められた、地域ごとに設置されている会員組織。原則60歳以上が会員として登録可能で、仕事の種類や発注などの詳細は地域のシルバー人材センターにより異なる。

樋口 恵子:東京家政大学名誉教授/NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」名誉理事長

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