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コンプラ時代に「ドッキリGP」はなぜ"笑える"のか 逆風のバラエティ、それでも笑いを諦めない矜持

東洋経済オンライン / 2025年1月2日 14時0分

2022年4月、放送倫理・番組向上機構(BPO)によって、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」番組は、「青少年の共感性の発達や人間観に望ましくない影響を与える可能性がある」という見解が発表されている。これは『ドッキリGP』をはじめとしたドッキリ企画を売りにしている番組にとっては無視できない話題だ。

「この“痛みを伴う笑い”というのが、一時期すごくネガティブな状況になりましたけど、個人的には“痛みを伴う笑い”=完全NGではないと考えています。

日常の中でも、人が転んでちょっとヒザを打って笑っちゃうことってあるじゃないですか。逆にヒザを打っちゃったほうも、痛いけど周りが笑っていたらなんかうれしくなっちゃった、みたいな。

笑えるという範疇であれば、“痛みが伴う笑い”はあってもいいと思っています。やっぱり身体を張った笑いは面白いですし、それがダメとなると困る演者さんもたくさんいます。ただ、やりすぎてドン引きされるのはダメ。そのギリギリのラインを守りながら、今後もチャレンジしていきたいですね」(中川さん)

中川さんが語るように、ドッキリはスパイシー料理なのかもしれない。だが辛くて食べられない代物では、料理として成立しない。辛くても美味しいからこそ、スパイシー料理ではないだろうか。

実際にドッキリ企画には「いじめじゃないの?」「不快すぎて見てられない」という批判的な声が上がることもある。そのようなネガティブな要素を感じないように視聴者を楽しませるのが、番組の総合演出である中川さんの腕の見せどころである。

「これまで多くのドッキリ番組では、騙された演者さんがドッキリだと知らされたところで、『びっくりした!』みたいなことをひと言話して終わりというパターンが多かったんですよ。

でも『ドッキリGP』では、ネタバレしたら必ず騙された演者さんにしっかりインタビューをするようにしています。ドッキリが終わった後に演者さんの“見せ場”をもう1つ作るんです。こっちがボールを一方的に投げるのではなく、向こうからも投げ返してきて爆笑をとってからVTRが終わるという、“笑いのキャッチボール”をしっかり描きたいんです。

そうすることで、笑いと同時に安心感を視聴者の皆さんに届けることができるのではないかなと思います」(中川さん)

ドッキリ番組に必要な「お作法」

とはいえ、番組が細心の注意を払ったとしても、意図しない方向に炎上してしまうこともある。中には意図的にプチ炎上を引き起こし、世間からの注目を集めるという手法もあるが、中川さんは「番組が炎上することはあっても、演者さんが炎上してしまうことは絶対にあってはならない」と語る。

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