瀬戸内海の離島が「留学先」として注目のワケ 「全校生徒数が93名」の広島県立大崎海星高校
東洋経済オンライン / 2025年1月3日 14時0分
自分の子どもに「留学」という選択肢を検討する親が増えています。英語圏の留学フェアには親子での来場が増加しており、ジュニア(高校生以下)を対象にした留学イベントも人気があります。その中での最大のテーマは、いつどこに留学させるかということです。
筆者は海外留学に関わる仕事をしているのですが、都会に暮らす10代の学生が高校時代の3年間を地方の特色ある高校で過ごす「地域みらい留学」という国内留学の制度があると聞いて興味を持ちました。海外留学の場合は、英語力の向上や異文化理解、コミュニケーション能力の向上、自分を知ることができるなどの効果があります。国内での「地域みらい留学」の場合はどうなのでしょうか。
地域みらい留学とは
運営する一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォームによると、「地域みらい留学は、130校を超える日本各地にある魅力的な公立高校の中から、住んでいる都道府県の枠を超えて、自分の興味関心にあった高校を選択し、高校3年間をその地域で過ごす国内進学プログラム」。海外留学が近年、より短期(1カ月未満)にシフトしている中で、3年間は長い印象があり、その実情も知りたいポイントの1つです。
東京で開催された地域みらい留学合同説明会に参加したところ、各学校ののぼりが立ち並び、まるでこれから漁に出る港のような活気がありました。もちろん漁船ではなく、実際は全国各地の高校のブースがびっしりと並んでいたのです。会場は進路を考える親子が多く参加していたのですが、学校のブースで説明をしているのは学校の職員らしくない人ばかり。中には高校生がプレゼンテーションをしているブースも見られました。実際に数校から話を聞いたのですが、地域とのつながりを重視し、生徒が主体性を持って学べる工夫があったり独自の魅力を前面に出した学校が参加していました。
その中でも一際興味を惹かれた広島県立大崎海星高等学校を後日訪問しました。
「教育の島」大崎上島町へ
東京から飛行機、レンタカー、フェリーを乗り継いで約3時間半の場所に瀬戸内海に浮かぶ離島、大崎上島があります。大崎上島町の人口は、6815人(2024年10月末、広報大崎上島2024年12月号より)。眼前には瀬戸内海の絶景が広がり、島には自然豊かな長閑な風景が広がっています。主要産業としては、柑橘系やブルーベリーの栽培があるのですが、フェリーから車で降りると港の近くに造船所が視界に入り、この島の主要な産業であることがうかがえます。聞けば、中世の頃は海賊の島として知られ、昭和の中頃まで木造船の製造で栄えた町だそうです。
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