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瀬戸内海の離島が「留学先」として注目のワケ 「全校生徒数が93名」の広島県立大崎海星高校

東洋経済オンライン / 2025年1月3日 14時0分

最後に教育寮「コンパス」には、自治体の運営のもと1学年10人、3学年で約30人を収容、ハウスマスターがここに滞在する学生のサポートを担当しているそうです。地域みらい留学の学生もこの施設に滞在しながら共同生活のもと、学校に通っています。

地域みらい留学がスタート

その後、生徒数を底上げする目的で、全国からの学生を募集する地域みらい留学の受け入れもスタートするようになるのですが、その募集方法もこの学校らしさが表れています。生徒が学校の魅力を説明する部活「魅力郵便局」を設立し、生徒募集を生徒自身に任せることにしたのです。東京の説明会会場に同校生徒約10名が等身大の経験をプレゼンすることで、来場した親は自分の子供の数年後をイメージしやすくなる効果を生み、評判となっていったそうです。

同校の兼田侑也先生は言います。

「広報活動(説明会に参加)することで生徒は、生徒同士で切磋琢磨し、プレゼンのフィードバックをその場で感じることができ、彼らの自信にもつながっていきました」

結果としてブースの来場者も増加し、学生の成長にもつながる好循環が生まれているようです。また先生によると、現在は学生数の3分の1くらいが地域みらい留学の学生で占められるようになっていて、新入生は先輩のプレゼンに憧れて入学しているため、ある程度自発的にプレゼンができる状態の生徒も多いということでした。

同校の生徒の特徴として、成果発表会でも物怖じせずにプレゼンテーションをしたり、地域の住民の方へのインタビューも積極的にしたり、自己肯定感が高い印象があります。実際のところはどうなのか、また留学と同様にホームシックや適合期の実情はどうなのか、生徒2名にインタビューしました。

留学中の生徒はどう思っているのか

インタビューしたのは高校3年生のKさんとAさんの2名の女子学生。

入学の動機については、Kさんの場合、中学校の際に最後の1年間不登校になり、高校は3年間通える本当に行きたい学校を調べていました。その際たまたまテレビの番組に出ていたこの高校について母親から教えてもらい、実際に見学のため来島。ここだ!と思って決断したということでした。

「実際に来てみると、島の人が頼んでもないのに何かやってくれたりとか、高校生とか大人にかかわらず、さまざまな方が挑戦されているという面においてもここは私にとってぴったりな場所だなと思って受験を決めました」

一方Aさんのほうは、まったく別の動機があったと言います。彼女には都会の進学校に通う兄がいて決められたレールに自分もいることに違和感を抱いていたようです。

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