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KDDI「AIドローン構想」が示した警察支援の可能性 災害時も平時も、全国10分圏内を目指す

東洋経済オンライン / 2025年1月3日 7時40分

KDDIは、ローソンからドローンを発着陸させ、警察活動に活用する実証実験を行った(筆者撮影)

KDDIは石川県七尾市で、警察活動支援のためにAIドローンを活用する実証実験を2024年12月に行った。行方不明者の捜索や交通事故現場の確認まで、警察業務の高度化に向けた新たな試みだ。コンビニエンスストアをドローンの発着拠点とすることで、緊急時の初動対応を10分以内で可能にするという。取り組みの現場から、その可能性を探った。

【写真で見る】警察署の隣にあるローソンからドローンが発着する様子

「地域防災コンビニ」のモデルケース構築

能登半島地震、奥能登豪雨と続く災害の経験は、KDDIの構想を加速させた。石川県との包括連携協定締結を実施し、同社は「地域防災コンビニ」のモデルケース構築に着手。12月23日の実証実験は、その第一歩となった。

KDDIの松田浩路取締役執行役員常務・CDOは「災害時のためだけに予算は組めない。日常から活用できる仕組みが重要」と指摘する。同社が「フェーズフリー」と呼ぶ、平時と災害時を区別しない考え方だ。ここに、通信技術を活用した新しい地域インフラ構築の方向性が見える。

実証実験の全容

12月23日の実証実験は、七尾警察署の会議室および隣接するローソン七尾小島町店を拠点として実施された。同店舗の屋上に設置された金属パイプ製のやぐらがドローンの離発着場所となり、2つのシナリオで警察活動の高度化に向けた実証が行われた。

実験は警察の通信指令室からの模擬通報から始まった。「七尾市内の小丸山城址公園付近で25歳男性が行方不明。午前9時頃から散歩に出たまま帰宅せず。黒色ジャンパー、紺色長ズボン、白色スニーカーを着用」──。この通報を受け、1つ目のシナリオが動き出した。

ローソン七尾小島町店の屋上から約1km離れた小丸山城址公園に向け、AIドローンが飛行を開始する。警察署内では、操縦者の画面と現場のライブカメラ映像を映す2つのモニターで状況を確認。サーマルカメラを活用した上空からの捜索により、行方不明者を発見し、警察官への正確な位置情報の伝達まで完了した。

続く2つ目のシナリオは、より遠距離での実証となった。「能登島大橋駐車場先の路上で2台の車両が正面衝突。両運転者が意識不明」という通報に基づき、店舗から約5.1km離れた現場へドローンが急行。七尾湾上空を直線的に飛行することで、車両では湾岸を迂回して15分を要する距離を、わずか8分で到達した。

現場では、250m先のナンバープレートまで確認できる高精細カメラを活用し、車両の破損状況や乗員の様子を詳細に確認。「運転席の乗員が動いていないようです」「後部座席に1名確認できます」といった具合に、オペレーターと警察官の間で具体的な状況確認が交わされた。さらに3Dスキャンによる現場の立体的な記録まで実施。事故状況の詳細な把握を可能にした。

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