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「前2輪」のユニークな形状で走るRaptorの可能性 街中の走行で快適かつ安全な移動手段を追求

東洋経済オンライン / 2025年1月4日 7時40分

本体は上下に分割可能で、ステアリング操作と、ブレーキの操作は物理的なリンクを介して下のシャシー側に伝わるようになっている。スロットル操作などは電気的に伝わる。それらの接続をすべて一括で行うことができるようになっているのがユニークなところ。

シートを低く、ステアリングを高くすることで、スクーターのように誰でも操作できるようにすることもできるし、シート高を上げて体重移動中心で操作するようにもできる。極めて理にかなった構造になっている。

さらに、工場横に作られたこのテストコースで頻繁にテスト走行を行って操作性のチューニングをすることもできる。

実は、RDSの祖業はレーシングパーツの製作。

守秘義務があって多くは語れないようだが、F1チームのトロロッソからクリスマスプレゼントとしてもらったフロントウィング(これ自体がRDSの製品というわけではなく、スポンサーロゴが入っている部分をプレゼントされたもよう)や、現在日本人唯一のF1ドライバーである角田裕毅選手の個人スポンサー……というあたりから察するしかなさそう。

現社長である杉原さんは、父が創業したレーシングマシンのパーツを製作する会社を継ぐために15歳で単身渡英。イギリスの全寮制高校を経て大学でプロダクトデザインを専攻した。

現在RDSは、レーシングマシンや、自動車メーカーのプロトタイプ製作を通して、デザイン、設計、新素材の開発、クレイモデル、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形、3Dプリンターなどによるモデルの製作、3Dモデリングデータ製作、構造解析などを行う企業に成長している。わかりやすくいえば、単価が非常に高くなったとしても必要な、高強度、高精度な単品モデルの製作に特化した企業だ。

埼玉県大里郡寄居町の牧歌的な農村風景の中にある高度なセキュリティに守られたファクトリーには、さまざまな素材を自在に加工できるNC加工機、3軸加工機、5軸加工機、さまざまなサイズの3Dプリンター、オートクレーブや、計測のための3Dスキャナー、モーションキャプチャーなどが所狭しと並んでいる。また随所に定盤があり、正確なプロダクトを作るのに役立っている。また、そもそも寄居の立地も地盤が固く、精密な製品を作るのに向いているのだそうだ。

それらを使って作られるのはレーシングマシンだけではなく、競技用の車イス、車イス利用者のための高度な計測機械(乗車するポジションが数mm変わるだけで、車輪を回す力が大きく変わり、日常生活が楽になるのだそうだ)、歩行フォーム計測用ロボット、人が乗れる大型のロボットなど多岐にわたる。

Raptorが街中を走る未来を見たい

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