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「記憶力は才能」と思っている人に欠けた視点 東大卒の記憶力日本チャンピオンが教える実態

東洋経済オンライン / 2025年1月5日 8時30分

記憶力を上げる第一歩として最も重要かつ理解しておいてほしいことが、この見出しでもある「忘れることは悪いことではない」ということです。 忘れることは、人間を含む多くの動物に備わる「仕組み」なのです。

想像してみてください。もしすべてのことを忘れることができなかったら、どうなるでしょうか? 友達とけんかしてとても腹が立ったこと、大切な人が亡くなって悲しかったことなど、生きていれば大きいものから小さいものまでたくさんの感情が溢れています。

もしその出来事やその瞬間に感じた気持ちが、毎日蓄積されるとしたら?間違いなく、自分の体があらゆる感情に支配されて、今この瞬間に生きることが苦しくなってしまいます。実際に人間の脳は、あらゆる出来事や経験を無意識に「必要なもの」と「不必要なもの」に選別しています。

自分の生死にかかわるような衝撃的な体験などは、たった一度の経験で、トラウマとして長期間「記憶」に残ったり、何かをきっかけに鮮明によみがえったりします。

しかし、学校の小テストで出題される英単語は衝撃的な体験ではないため、なかなか記憶に定着しないのです。つまり、人間が1回で覚えるということは、ほぼ不可能だということです。

だから脳が記憶できるよう、「反復」や「復習」を行うのです。何度も繰り返して、脳に「これは大切なことだ」と無意識的に判断させると、だんだん忘れにくくなり、長期的に覚えていられるようになります。

メモリースポーツの世界大会で優勝するような「世界一記憶力が良い人」でも、大会で記憶した内容を意識的に復習しなければ、1週間後には大半を忘れてしまいます。1カ月後には思い出すことすらできません。

メモリースポーツのチャンピオンですら、復習をせずに記憶を長い間維持することは不可能なので、世の中のほとんどの人ができるわけがないのです。忘れるということは、「人間の防衛本能として『忘れる』ことで、自分を守ってくれているんだ」と思って、自分の記憶力に対して持っているネガティブな感情を一つ捨てることができたと思ってください。

脳トレは筋トレに似ている!?

みなさんも、一度は「筋力トレーニング」(筋トレ)をやったことがあるのではないでしょうか? 筋トレをやると翌日は全身が痛みに襲われて、ひどい倦怠感に悩まされると思います。それでも筋トレを継続していると食事にも気をつけるようになり、しばらくすると体に大きな変化が出てきます。もちろん運動時のパワーやスピードも上がるでしょう。サッカーや野球などの球技や、水泳、短距離走などにも効果があることは言うまでもありませんね。

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