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「記憶力は才能」と思っている人に欠けた視点 東大卒の記憶力日本チャンピオンが教える実態

東洋経済オンライン / 2025年1月5日 8時30分

現在、「脳トレ」は本だけでなく、スマートフォン(スマホ)向けのアプリやNintendo Switchなどのゲーム機などでやるゲームになってたくさん販売されています。「脳トレ」といっても、計算をやったり、ランダムに並んだ単語を記憶したり、謎解きのような問題があったりと種類は多種多様です。

研究でわかった脳トレの効果を効率よく高める方法

脳トレに関する研究は世界中でたくさん行われていて、さまざまな説が述べられています。中でも、現在の主流の考え方の一つは、スタンフォード大学やアバディーン大学の研究チームなどが発表している「脳トレの内容と同じものや近いものであれば、そのトレーニング効果は大きいが、全く関係のないものに対してはあまり効果がない」というものです。

いまいちイメージがしづらいので、具体的な例を挙げます。百マス計算や数独のような「計算系の脳トレ」を行えば、生活の中でよく遭遇する会計などでのちょっとした四則演算では大きな効果があります。ただし、物忘れがなくなったり、人の顔と名前が覚えられるようになったりすることはほとんどないということです。

反対に、「人の顔と名前を覚える脳トレ」を行えば、日常生活の中で人の顔と名前を覚えるのはものすごく得意になりますが、認知力が高まることで反射神経が上がるなどということはほとんどないのです。このような説が強いことに対して意外に感じた人は多いかもしれません。

もちろん、脳トレゲームを楽しむことで頭がすっきりしたり、記憶力や認知力に対して「自信」がついたりするのはとても良いことです。記憶力にメンタルは非常に重要だからです。しかし、脳トレの効果を感じたければ、自分の生活にあった脳トレや自分の伸ばしたい能力に効果のある脳トレを行うことが大切です。

これは人間の筋肉で考えればとてもわかりやすいです。サッカー選手が強いシュートを打てるようになりたいのにもかかわらず、下半身のトレーニングではなく、腕や手首の筋トレをしてもあまり効果がないことに似ています。

あなたがもし営業担当で、毎日たくさんのプロフィールを覚える必要があるのであれば、「顔と名前を覚える脳トレ」を行うことがとても効果的です。なんのためにトレーニングをするのか、自分の生活やなりたい姿に合った脳トレをするように心がけてください。

青木 健:メモアカ代表取締役CEO/日本メモリースポーツ協会会長

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