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中居正広CM削除「ソフトバンクの判断」が正しい訳 「示談してたのに…」は企業には一切関係ない

東洋経済オンライン / 2025年1月8日 8時40分

なお、私は企業の窓口の社員が日和っているという話を言いたいわけではない。特定の立場の人たちを責めるだけでは解決しない。構造上の問題だと私は思う。

というのも炎上が大きくなるほど、その芸能人を切らねばならないという社会的な必然がある。この世の中には心的外傷後ストレスを発症したり、トラウマを抱えたりする方が非常に多い。まったく無関係な芸能人の事件であったとはいえ、フラッシュバックする人がいるかもしれないし、自ら命を断つ視聴者もいるかもしれない。

そうなると、実際に大きな事件かは別として、騒ぎが大きな事件について、当該の芸能人を排除せねばならない必然性が生じてしまうのだ。

コンプライアンスと再発防止

また、現在では各企業がコンプライアンスや人権遵守の方針を打ち出している。ソフトバンクも例外ではない。

関係者、ステークホルダー全体に向けての人権遵守を宣言している。ということは、取引先が人権を蹂躙していた場合、もちろん許されずに是正すべき対象となる。

ところで、みなさんの会社で人権遵守などのコンプライアンスを宣言していたとする。そして、仕入先で重大な人権蹂躙事案が見つかったとしよう。

たとえば児童労働や強制労働が日常茶飯事といったような場合だ。みなさんの会社は、取引先のそのような違法な状態に支えられているのだから、当然ながら人権蹂躙は認められない。

しかしながら、すぐさまその仕入先との取引を止めてしまったらどうだろう。むしろ、その人権蹂躙状態は温存されてしまうかもしれない。

だから取引を止めるのは最後の手段であって、仕入先にしつこく改善を求めるほうが、回り道だけれども人権蹂躙は根絶できるかもしれない。だからコンプライアンス違反があったとしても、取引を止める必要はないのだ。

ただし芸能人の場合はどうだろうか。基本的には、想像以上に社会的なバッシングを受けるし、深く自省して改善しようとするだろう。たとえば冒頭の事例でいえば、社会的にあれだけ責められた芸能人が、すぐさま同様の事例を起こすとは考えにくい。

さらに芸能人と企業の契約の場合は、「信義則違反」として「社会通念上、不適切または反社会的と見なされる行為を行った場合」「相手方の行動が社会的信用を損なう結果を引き起こした場合」といった契約解除条項が盛り込まれているから、取引停止もたやすい。

さらに取引停止によって人権蹂躙が温存されるとは考えにくい。だから芸能人の場合は、取引を止めることに躊躇がない。タレントは文字通り、社会からの信用を基にしている。

思い出される、フワちゃんのCM削除

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