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運のいい人が幸運をつかむ前にやっていること 「世界を動かす力」セレンディピティの謎を解く

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 9時40分

「序章 セレンディピティ――世界を動かす隠れた力」より

つまりセレンディピティ・マインドセットは、圧倒的な成功と幸福を手にした人々が、有意義に生きるための支えとしてきた人生の哲学だということである。

そしてそれは、私たち一人ひとりが身につけることのできる“実践的な能力”でもあるのだ。

では、幸運とセレンディピティは、なにがどう違うのだろうか?

自然災害や大物スターとのはちあわせといった偶然を、自らの手で生み出すことのできる人はまずいない。

だが好機に敏感になることで、セレンディピティを誘発し、それを活用しうる状況を生み出すことはできる。

見過ごされがちだが、成功者の多くは、一見偶然の出来事に大いに助けられているように見えても、単に「運がいい」だけではない。

たいていは意識的あるいは無意識的に、そのような「幸運」を引き寄せるのに必要な準備をしている。

――12ページより

 ともすれば私たちは、世界的な成功者たちを特別な存在と考えてしまいがちだ。けれども実際のところ、自分と周囲のためにセレンディピティを育むことは“誰にでもできる”のだ。

なぜなら、日常のささやかな場面から人生を左右するような大事件まで、セレンディピティは私たちの生活のなかにもあふれているのだから。

セレンディピティは“特定の誰かのための特別な能力”ではないということを、私たちはまず心にとめておくべきなのかもしれない。

気づきを結びつけると、解決策が生まれる

日常のなかで偶然何かが起き、それに気づき、注意を払い、もともと知っていた一見無関係な事実と結びつける。

2つを結びつけ、主体的に対応することで、それまで存在することすら気づいていなかった問題の解決策が見つかる。

――14ページより

そして、愛もまたセレンディピティから生まれるといえる――。

そう述べる著者の場合、これまでの恋人と出会ったのはたいていコーヒーショップや空港だったという。

コーヒーをこぼしてしまったり、ちょっと席を外す間にパソコンを見ていてほしいと頼んだりしたことがきっかけで会話が始まり、共通の趣味が判明することもあったそうだ。

これは、よくある恋愛ドラマのようなトピックだと解釈するべきことだろうか? きっと、そうではない。誰にでも起こりうることであり、それもまたセレンディピティのひとつなのだから。

そのことを実感するために、現在のパートナーとの出会いを振り返ってみてはどうか。

出会いはたまたまだっただけかもしれない。だがそれでも、相手との相性のよさ、共感できるなにか、共通の価値観などに気づいたからこそ一緒にいるに違いない。

そして、あなたはさまざまな過程において、相手との関係を成り立たせようと努力をしたことだろう。つながりを大切に育み、お互いに足りない部分を補い、刺激し合う部分を見つけ出したのではないか?

そうして偶然の出来事をとらえ、つかみ、努力した。それは単なる偶然ではない。セレンディピティだ。

――15ページより

印南 敦史:作家、書評家

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