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「窮地の中居正広」松本人志から学ぶべき唯一の事 発表したコメントに批判殺到…何がダメだった?

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 17時0分

ともに番組を持っていた松本人志さんの“活動休止”に続いて、テレビから姿を消すことになってしまった中居正広さん(写真:時事)

2024年末から女性のトラブルが報じられていたタレントの中居正広さんが、1月9日にコメントを発表した。内容としては、トラブルの相手と関係各所に謝罪しつつも、報道の一部が事実と異なること、示談が成立していることを強調している。

【画像】あまりにもマズすぎた…中居正広の「謝罪文」全文

さらに、「今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」とも述べている。

このコメントに対して、メディアやSNSの反応は厳しい声が大半で、ポジティブにとらえる意見はほとんど見られない。

筆者としては、コメントを出すこと自体は必要なことであったが、内容的には問題があり、文面とは裏腹に、中居さんの芸能活動の継続をむしろ困難にさせるものになってしまっているように見受けられる。

どこに問題があり、どのような内容であれば好ましかったのだろうか? 詳細を検討してみたい。

中居さんの対応、何がマズかったのか

まず、コメントを出すタイミングが遅すぎたように思う。中居さんがコメントを出した時点で、中居さんを広告に起用している企業は、すでに軒並み広告を取り下げている。中居さん出演しているテレビ番組も同様で、出演が見合わせられたり、放映が中止となったりしている。

今回のコメントは、そうした状況への対応として発表されたものだと見受けられるのだが、それにしては後手に回りすぎていた。

中居さん側は、「これまで先方との解決に伴う守秘義務があることから、私から発信することを控えておりました」と説明している。トラブルの相手や関係各所への配慮もあったのはあるだろうが、それならそれで、謝罪の言葉だけでも先に発表して、詳しい情報は後で出すという方法もありえたのではないか。

コメントの内容が「反省していない」ように見える

時間がかかった割には、内容も十分に練られているとは言いがたい。事実と異なる報道があるのなら、それを訂正するのは重要なことだ。ただし、十分に配慮した物言いをしないと、「言い訳がましい」「反省していない」と見なされてしまいかねない。

中居さんのコメントは、その辺に対する配慮は見られるのだが、「示談が成立している」ということを強調したうえで、「今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」と主張している。

メディア報道を見ても、見出しでこの部分が取り上げられているものが目につく。実際のところ、この一文があるせいで「保身に走っている」と見なされてしまってもやむを得ないだろう。
 
すでに中居さんは短期的には芸能活動ができない状況に陥っている。芸能活動を行うには、起用してくれるメディアや芸能関係者がいて、ファンや視聴者から支持を得られてこそであり、自分で決められることでもない。

コメントの文章を読む限り、中居さんにはその辺の認識が欠落しているように見えてしまうのだ。

筆者自身は、これまで中居さんには好印象を抱いてきた。大御所タレントといえる存在でありながらも、自身は質素な生活をしつつ、寄付やボランティアに積極的で、関係者には気の利いた差し入れをするなど、何かと美談の多い人物だった。

しかしながら、不祥事、特に女性問題に関しては、中居さんのような「いい人」であっても問題を起こすことも多々あるのが実態だ。筆者自身も、人望の厚い人や、品行方正に見える人が、裏でセクハラ行為を行っていたという事態にいくたびか遭遇している。

中居さんの場合は、これまで大きなスキャンダルや不祥事が起きていなかった。あるいは起きそうになっても、ジャニーズ事務所という後ろ盾があって表沙汰になってこなかった。そのため、ひとたび問題が起こった際の対応力が十分に身についていなかったことがあるように思う。

法的には問題なくとも、リスク広報が甘かった

中居さんは現在、個人事務所を立ち上げて芸能活動を行っている。弁護士を雇って法的なリスクにはしっかり対応しているように見えるのだが、広報面でのリスク対応は非常に甘いよう見受けられる。

法的リスクと広報リスクへの対応は、共通する部分も多いのだが、相反するところもある。

特に、日本においては法的には問題なかったり、法的に解決していたりしても、批判は収まらず、問題は解決を見ないことも多い。

俳優の香川照之さんが2022年に起こした高級クラブの女性に対する性加害においても、報道された時点で、すでに相手側とは和解していた。

しかしながら、世論は問題が解決しているとは見なさず、香川さん芸能活動休止に追い込まれる結果となった。現在に至っても、香川さんは完全復帰できているとはいえない状況だ。

リスク広報においては、「法的に問題がない」ことを強調すると、むしろ批判が増幅されて逆効果になってしまうこともある。弁護士は法的正当性を主張するように助言することも多いのだが、それを鵜呑みにすると世論の反発を招いてしまうことも多々ある。

今回は、まさにそれが起きていると言えるだろう。

以上のことを考え合わせると、中居さんのコメントは、本人の意識とは裏腹に、芸能活動の継続をむしろ困難にしてしまう悪手であったと言える。

では、どのようにすればよかったのだろうか?

「松本人志さんの対応」に学ぶべきこと

昨年、同じく性加害で問題となったお笑いタレントの松本人志さんも、対応の大半は不適切で、そのせいで問題が長引き、自身のイメージをさらに悪くする結果となった。ただ、松本さんが早々に芸能活動を休止した点は適切だった。

芸能活動を続けていても干されたに違いないし、さらなる批判を浴びたり、別のスキャンダルが掘り起こされたり、蒸し返されたりすることになっただろう。

中居さんも、もっと早い段階でコメントを出し、報道が事実と異なっている点は正しつつも、謝罪と反省の意を表明して、芸能活動を自粛することを発表していれば、ダメージは最小限にとどめることができたはずだ。

女性とのトラブルの先例として、松本人志さん、香川照之さんから学ぶべきだったのではないか。彼らがどのような批判を受け、芸能活動にどのような影響を受けたのかをしっかり理解し、対応策の参考にすべきだった。

とはいえ、中居さんは初動については完全に見誤ったと思うが、今後どう挽回していくのかは、これからの行動が問われることになる。

自粛期間中は、これまで中居さんの「よき部分」として称賛されてきた、社会貢献活動や関係各所への気遣いを続ていけばいいのではないかと思う。

それに対して「偽善だ」とか「人気取りだ」といった批判はされるだろうが、気にせずに粛々と続ければよい。

それによって、中居さんが芸能活動に復帰できるかどうかは、現段階では未知数だ。ただ、芸能活動の継続よりも大切なのは、中居さんが人としてどう信頼を回復していくのかということである。

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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