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コロナで販売急減「誕生100年の銘菓」が復活の背景 SNSで大量に販売できた経緯とは?

東洋経済オンライン / 2025年1月12日 8時20分

鯱もなかは、どんな手法でお客さんの心をつかみ、ファンを増やしていったのでしょうか?(写真:今井康一)

創業は1907年。看板商品の鯱もなか(しゃちもなか)は1921年に誕生し、100年以上にわたって守り続けられてきた地元の銘菓。

しかし、2020年に起こったコロナ禍で売上が大きく減少。仕方なく余剰在庫をコロナ支援の特別販売サイトで売ったところ、予想以上の反響があり、自分の代で暖簾を下ろそうと決めていた先代を娘夫婦が説得。4代目当主となり、100年の歴史を守るべく立ち上がります。新たに専務となった著者はどんな手法でお客さんの心をつかみ、ファンを増やしていったのでしょうか?

『鯱もなかの逆襲』より一部抜粋、再構成してお届けします。

描いたイメージ実現のためにできること

妻や従業員たちの気持ちを盛り上げながら、いつか必ず「鯱もなか」が注目される日が来ることを信じて、さまざまな準備を進めました。

じつは、元祖鯱もなか本店の復活劇において、感謝してもしきれないほどお世話になったキーパーソンが5人います。そのうちの1人が、Instagramをはじめ「鯱もなか」の広報業務を手伝ってくれている“しなのさん”という女性です。

しなのさんとの出会いは2021年の4月ごろ、僕が運用していたTwitterの不動産アカウントの投稿にコメントをもらったことがきっかけでした。いろいろと話を聞いてみるとさまざまな企業のアシスタント業務をしており、広報業務にも興味があるとのこと。

彼女なら、これから「鯱もなか」が仕掛けていくPR活動の力になってくれるに違いない! そう確信し、広報スタッフとして仲間に加わってもらうことにしたのです。

こうして会社員時代にマーケティングを学んだ僕と、企業のサポート経験が豊富なしなのさん、デザイン面の知識と経験がある妻の3人体制で、バズ(SNSなどを介して、消費者のクチコミによって話題となり注目が集まること)がいつ起こってもいいように、販売プロセスについて綿密に設計していきました。

ただ商品が売れるようにするだけではなく、バズという消費者の拡散力をもって「鯱もなか」の名を一気に広めていくことを目標に掲げたのです。

事前準備① 売上の礎となるECサイト構築

はじめにテコ入れしたのが、オンライン販売の強化です。

先代の頃から公式サイトは存在しており、申し訳程度に通販で商品を購入できるようにはなっていました。しかし、古びたデザインや、購入ページまでなかなかたどり着けない導線のわかりにくさなどが目立ち、お世辞にも購買意欲が掻き立てられるようなつくりとは言えませんでした。

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