田沼意次を重用「徳川家治」どんな人物だったのか 大河ドラマ「べらぼう」での描かれ方にも注目
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 13時0分
NHK大河ドラマ『べらぼう』で主役となった、蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)。重三郎は20代前半で吉原大門前に書店を開業し、書籍の販売と出版をスタート。浮世絵師を巧みにプロデュースし、「江戸のメディア王」として名を馳せた。いったい、どんな人物だったのか。また、重三郎が活躍したのがどのような時代で、どんな歴史人物と接点があったのかも気になるところだ。江戸時代中期に花開いた町民文化とともに、この連載で解説を行っていきたい。連載第2回は、重三郎が駆け抜けた時代に、将軍に就いた徳川家治の素顔について解説する。
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将軍の徳川家治が田沼意次を重用したワケ
いよいよNHK大河ドラマ『べらぼう』がスタートした。前回の大河ドラマ『光る君へ』が平安時代だっただけに、その時代のギャップにやや頭の切り替えが必要となりそうだ。
重三郎が駆け抜けた時代は、第10代将軍・徳川家治の治世にあたる。そこで今回は、家治がどんな将軍だったかについて解説しよう。
家治の治世下で、田沼意次が側用人・老中として幕政の実権を握った時代を 「田沼時代」と呼ぶが、その田沼時代において、蔦屋重三郎は生き生きと出版活動を行うことになった。もし意次が老中として自由な経済活動を推進することがなければ、重三郎の活躍は難しかっただろう。
そう考えれば、享保元(1716)年に8代将軍として徳川吉宗が選ばれたことが、その約35年後に生まれる重三郎の運命を決定づけたといっても過言ではない。
なぜならば、紀州藩主だった吉宗が将軍に抜擢されたことで、吉宗は紀州藩から信頼できる人材を幕臣として登用。そのうちの1人が田沼意次の父で、紀州藩士の田沼意行である。意行が取り立てられたことで、息子である意次は、次の9代将軍となる吉宗の息子・家重のそばで仕えることになった。
家重は名君・吉宗の息子とあって期待が大きかったが、幼少期は文武も学問もぱっとせず、コミュニケーションにも難があった。
だが、家重には人を見る目があったようだ。将軍になると、意次を重用して1万石の大名に取り立てている。やがて息子の家治に将軍の座を譲って大御所となるが、翌年に死去。10代将軍を務める息子の家治に、こんな遺言を残したという。
「田沼意次を重用するように」
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