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「3人に1人が高齢者」の日本で診療所が消失の危機 潰れる病院・診療所2023年は"過去最多"を更新

東洋経済オンライン / 2025年1月13日 15時0分

日本国内は高齢化がさらに深刻化していくが、その一方で「診療所」は相次いで姿を消していくことになるだろう(撮影:今井康一)

日本は今、地域医療の危機を迎えています。2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、認知症患者も大幅に増えることが予想されています。

このままでは近い将来、患者さんがかかりつけ医を見つけられなくなり、地域医療が崩壊してしまうかもしれません。

『「総合診療かかりつけ医」がこれからの日本の医療に必要だと私は考えます。』の著者、菊池大和医師が現状と課題、真のかかりつけ医の必要性、そして地域医療を守るための方策について伝えています。本稿では、同書から一部を抜粋、編集してお届けします。

約3人に1人が高齢者になる

「いつでも、なんでも、だれでも、まず診る、総合診療クリニック」を早急に増やさなければいけない背景として、急速に進む少子高齢化があります。

2025年には団塊の世代の多くが75歳を迎え、一気に高齢者人口が増えることから「2025年問題」と呼ばれていますが、最近では「2040年問題」、さらに「2050年問題」などと呼ばれる、深刻な未来予測が指摘されるようになりました。

これらのなかで、医療者の私が一番スルーできないのは「2040年問題」です。政府の推計では「約3人に1人が65歳以上の高齢者」になります。100歳以上の方が、今の約9万5000人から30万人になるとも試算されています。

厚生労働省が2024年5月8日に発表した統計は、もっと衝撃的でした。

「認知症施策推進関係者会議(第2回)」において発表された「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」で、2040年に認知症患者が約584万人、認知症予備群とされる軽度認知障害(MCI)患者が約613万人に上るという推計が公表されたのです。

65歳以上の高齢者のうち、およそ3人に1人は認知症かMCIになると試算されました。

これは九州大学大学院医学研究院の二宮利治教授(衛生・公衆衛生学分野)が中心となって、2022年から2023年にかけて、福岡県の久山町、石川県七尾市中島町、愛媛県伊予市中山町、島根県の海士町という、全国を股にかけた4地域で「認知症患者の有病率」を調べた結果から導き出された試算です。

会場調査や訪問診察を併用して、対象となった患者をもれなく調査する「悉皆(しっかい)調査」でした。

4地域で調査対象となった65歳以上の7143人のうち、6675人から回答を得て、そのうちの認知症患者の人数から有病率を算出しています。

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