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「60歳で教師」になった女性が2年間で得た気付き 教師に憧れながら企業就職、からの伏線回収

東洋経済オンライン / 2025年1月13日 12時0分

小川さんは定年後、いかにして「別の道」を選んだのか(撮影:尾形 文繁)

近年、定年後も働くシニアが増えている。同じ会社やグループ企業で働き続ける人が多い中、小川みどりさん(62)は、自らのキャリアとはまったく異なる教職に就いた。50代までリクルートの人事担当やスポーツライターとしてのキャリアを積み重ね、還暦を迎えたとき「やりたいことはすべてやった」と感じた小川さんはいかにして「別の道」を選んだのか。

【写真】バルセロナオリンピック前。マラソン選手の有森裕子氏などリクルートから出場した3選手と

希望に胸を膨らませて教師になったが…

小川さんは現在、東京都内の公立小学校で時間講師として国語の授業を担当している。はじめて教壇に立ったのは2022年10月、60歳のときだった。希望に胸を膨らませ教師生活を開始したが、すぐに壁にぶち当たる。

とにかく子どもたちが静かに話を聞いてくれない。「『静かにして』と言っても、静かにはならず、教師としての力のなさに打ちのめされました」。時間講師として多くのクラスを担当するため、子どもたちの名前と顔がなかなか一致できずに悩んだり、授業をよりわかりやすく、興味深くするにはどうしたらいいか考えたりと、試行錯誤が続いた。

どうしたらもっと、馴染めるのか。そんなときに思いついたのが、自分の過去のキャリアや経験を利用して、小川さんにしかできない独自の企画を実現することだった。

後述するが、小川さんは過去の仕事からJOC (日本オリンピック委員会)とのつながりが深く、顔見知りのアスリートも多い。そこで、そのツテを生かして新体操やフェンシングのオリンピック選手を招き、児童と父兄向けの公開講座で講演を実施。「児童や先生方を巻き込んで実技に挑戦してもらったり、トーク後には児童や父兄とハイタッチをしてもらったりしました」(小川さん)。

時間講師として働いて2年。小川さん自身も教師になり、工夫を凝らした授業を模索する中で、改めて学ぶ意欲が高まっているという。

【写真】リクルートからスポーツライターまで……小川さんが教師になるまでの多彩なキャリア

「例えば、故事成語の授業では、簡単な脚本を用意し、子どもたちに衣装を身につけて演じてもらったり、飲料メーカーの俳句コンテストにみんなで応募したり。自身も国語を教えることで、改めて言葉の成り立ちを再認識し、文学作品を読み返しています。学ぶことの楽しさを感じられる仕事だなと思います」

実は小川さん、教師になることは子どもの頃からの夢で、そのつもりで大学にも行っている。それがなぜここまで「遠回り」することになったのか。それにはまず、子ども時代まで時計の針を巻き戻す必要がある。

本とスポーツが大好きだった子ども時代

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