1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

社外の知恵が生むJR東「驚きビジネス」誕生の裏側 自社では思い浮かばないアイデアが続々登場

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 6時30分

JR東日本スタートアッププログラムでは、スタートアップ企業にアイデアを提案してもらい、審査を通った企業はJR東日本のリソースを活用して実証実験を行う。その結果を踏まえ、有望と認められる企業に対しては出資や業務提携といったステップに進むというものだ。

「無人決済」など66件が事業化

初回となる2017年度は133件の提案があり、11社が採択された。その中には実証実験を経て事業化されたビジネスも複数ある。たとえばAIによる無人決済システムは大宮駅などでの実証実験を経て、開発企業とJR東日本が共同で事業化し、ファミリーマートなど全国各地の店舗で実用化されている。また、荷物預かりサービスの「ecbo(エクボ)」は東京駅での実証実験を経て、現在はカラオケ店や小売店、ホテルなど全国約1000カ所で同サービスを展開している。

2018年、JR東日本スタートアップという会社が設立され、その取り組みに拍車がかかった。事業化された提案も少なくない。

その中の1社、岩手県盛岡市に拠点を置く「ヘラルボニー」は、障害者のアート作品を駅などの公共空間に展示して魅力付けすると同時に商品化して障害者に仕事と収入を提供するという提案を行なった。

提案は採択され、JR東日本との協業により釜石線にヘラルボニー所属アーティストのアートをラッピングした列車が走ったほか、高輪ゲートウェイ駅の工事現場の仮囲いにはこれらのアートが描かれ、これらのアートを活用した商品がJR東日本の通販サイトで販売されている。

同社の取り組みはSDGs(持続的な開発目標)経営で日本に先行する欧州でも高く評価されており、2024年9月にはパリに進出した。

地方振興事業を手掛ける「さとゆめ」はJRの駅舎を「ホテルのフロント」として活用、青梅線沿線に点在する古民家の空き家をホテル客室に改装し、沿線全体をホテルに見立てる「沿線まるごとホテル」の実証実験を2021年2〜4月に行あった。その後、同年11月にJR東日本と共同出資の「沿線まるごと株式会社」を設立。現在も星空観測や地元の醸造所訪問などさまざまなツアーを行っている。

約50社に出資、6社が上場

JR東日本スタートアップは約50社に出資している。同社の担当者によれば「1社あたりの出資額は数百万円から数億円の範囲」。出資企業のうち、業務用鮮魚のネット販売を行う「フーディソン」やスキマバイトサービスを提供する「タイミー」など計6社が株式上場した。それらの株式は上場時に売却して、売却で得た資金はほかのスタートアップ企業への出資に充てているという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください