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人事部が「社員の人生相談」を聞く"深い理由" 「無駄な離職」を減らすために必要とされること

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 18時0分

その会社は200人規模だったので、20数名ずつ8回にわたってこの研修を行い、社長にも来てもらって一緒に夕飯を食べたりして、みんな楽しそうにしていました。

そうしてできた「行動指針」は、私が退社して10年以上経った今でも使ってくれています。また、何より大きかったのは、社員の意見を反映した評価制度ができたことでした。

新しい制度を導入すると、多かれ少なかれ、社員からの反発があるものです。しかし、研修を通じて自ら「自分たちは何を求められているのか」を考えてもらい、それらを評価基準にしたので、誰も文句を言いませんでしたし、すんなり受け入れてくれました。

中途で入って1年目に実施したので「西尾ってどんなやつなのか」もわかってもらえましたし、研修中はずっと社員と一緒にいたので、「みんなこういうことを思っているんだ」ということが見えて、それも良かったです。

評価制度を導入してキャリアステップを示すと、若手は特にモチベーションが上がります。社員みんなで人事制度を考える研修は、おすすめです。

離職者を減らせた

離職者を減らすことができたのも、人事の喜びの1つでした。これにはいろんな要因がありますが、1つは人事制度をちゃんと回せたこと。

どうやったら上の等級に上がれるのか、より成長できるのか、社員にキャリアステップを示せたことは、すごく大きかったと思います。昇格の基準を明確にできたことで、若手の離職が少なくなりました。

また「自己申告制度」を導入して「異動を願えば叶う可能性があるんだ」と社員に示せたこと(これについては前回の記事をご参照ください)も、離職者を減らす効果が高かったです。

そして、私が中途入社した企業はベンチャーでしたので、管理職の教育がきちんと行き届いていませんでした。制度導入に伴い管理職研修はやりましたが、やはりそれだけでは不十分。上司が部下の評価をちゃんとしているのかをチェックし、「人事評価や人材育成も管理職の重要な仕事です」と伝えることに努めました。

「自己申告制度」で異動を希望する部下が多い上司や、「360度評価」で評価の低い上司がいた場合は、そのままにしておくと部下たちが腐ってしまうかもしれません。その上司の上長に「まずいですよ」と進言したり、本人にも警告を発して個別教育をしたりしました。それでも改善しない場合は、部下を異動させて救ったこともありました。

離職者を減らすには、本人が「辞める」と決める前に話をすることが重要です。退職届が出てからでは遅いので、「実はちょっと悩んでいるんですよね……」という社員がいたら、私や人事のメンバーが会って話を聞いたり、その上司に「あの子、ちょっと様子がおかしいから話をしてもらえませんか」と相談して、離職を止めたりしていました。

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