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ジャガーのユニークな「もうひとつのビジネス」 伝説的な車両を後世に残すクラシックワークス

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 10時0分

最新のスポーツカーとはまた違う味わいがあり、なにより細身の美しいボディをもつEタイプを平常心で乗りまわせるのは、何にも代えがたい魅力だ。その車両で「25万ポンド=約4875万円」と教えてもらった。

広大な「おもちゃ箱」の中にある宝石

ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスは、1万4000㎡の敷地に、作業用ベイと「コレクションルーム」と呼ばれる2段式の立体駐車装置が同居している大きな建物。作業用のベイは、54も置かれている。どのクルマも高価で貴重なだけに、清潔で設備も整っている印象だ。

「コレクションルームは、私たちにとってたいへん重要なモデルを保管しておくところです。でも、ここを私たちはトイボックス(おもちゃ箱)と呼んでいます」と、先のウィルスン氏は笑顔でいう。

ウィルスン氏が案内してくれた建物内には、戦前から最新のモデルまでがところ狭しと置かれていた。まさにトイボックス、というか、自動車好きには宝石箱だ。

レース車両やプロトタイプ、さらに映画に登場した車両や英国王室で使われた車両など、世界に1台しかないような車両がずらり。

「ここは言ってみればライブラリーですね。すべての車両が本で、そこにはそれぞれの物語が書かれています。1台ずつが、そのクルマにしかないストーリーを持っているのです」

「たとえば」と、ウィルスン氏が指摘したのは、一見オンボロに見えるランドローバーだ。塗装がまだらになっている。

「1948年製というごく初期の車両で、7台つくられたうちの1台です。すこし前に“発見”されて、ここに持ち込まれました。まだらになっているのは、最初の塗装から何度も何度も上塗りされてきたのが、剥げてきているからです」

さらにウィルスン氏は、この塗装についてこう考えている。

「歴代オーナーが色を変えたのには背景があって、この車両が1948年からたどってきた物語が、各層のペイントに埋め込まれていると捉えています。だから、あえてこのままの状態にしているのです」

ユニークな“もうひとつのビジネス”として

ジャガーとランドローバーがこれまでに生産してきたモデルのバリエーションや台数は、トヨタの足元にも及ばないほど、ごく限られている。

一方、そうであるがゆえに、物語を持つ1台1台を丁寧にレストアすることで、バリューを保持することができるのだ。

レストアの方向性についても、上記のようにちゃんと言語化している。そこが彼らの“もうひとつのビジネス”のユニークな点であり、ほかが真似できないものなのだ。

【写真】改めて見てみたい美しきジャガー「Eタイプ」とジャガー・ランドローバー・クラシックワークスの仕事

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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