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悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分

しかし一般的な常識で言えば、データの復旧率というものは50~70%程度。また、データやデバイスの状況を確認する前から復旧可能であるかを判断するのは技術的に不可能なことであり、こうした発言によって顧客を勧誘するのは不適切な行為と言えます。

そして高い復旧率を強調して言葉巧みに勧誘する一方で、契約書には免責事項として復旧保証がないことが記載されています。ですから復旧できなかった場合でも、契約書の内容に沿って料金が請求されます。顧客としては、いったんは同意して業者と契約を結んだわけですから文句は言いにくい。でも納得がいかない、ということになるわけです。

また「このまま手を打たないでいると、さらに障害が悪化して復旧できなくなる」といった説明で不安をあおり、契約を急かすのも悪質な事業者の特徴。契約書の内容を冷静に判断するための時間を与えようとしないのです。ちなみにデータが呼び出せなくなってからも、パソコンを使いデータの上書きを続けていた場合などは別として、消えたデータを放置しておくことで状態が悪化することはありません。

さらには、「自社しかない特許技術を持っています」「この障害を復旧した実績があります」など、特定の事例を強調してアピールする事業者も注意が必要です。

――金額面でも、高額な請求をされることが多いのでしょうか。

金額の大小そのものではなく、提供されるサービスの内容と請求金額の乖離が問題であると言えます。

例えば私たち協会としては成果報酬制、つまり実際に復元ができたときのみお客様からお金をいただくのが本来は望ましいと考えています。復旧の可否を診断するために、デバイスを分解しなくてはいけないときなどは診断料が発生することもありますが、最低限に留めておくべきです。成果報酬制なら、お客様との間で金額面での合意さえ得られれば、不満や不信感が生じることはほとんどありません。

一方、レスキュー商法業者は、診断料30万円、作業料10万円といったように、診断の時点で高額な金額が発生する料金体系になっている場合が多くあります。もちろん、復旧の可否を見極めるための診断作業に、本当に30万円程度の費用がかかる状態なのであれば問題ないのですが、提示された価格の根拠が不明であるケースが少なくありません。

私たちも日々同様の業務を行っていますので、「なぜこの作業にこれほどの費用が必要なのか」と疑問に感じる相談事例が多いのです。ひどい事業者では、依頼された機器とは異なるメーカーの機器の解析データを顧客に渡していました。「デバイスを事業者に送付してからわずか数時間後に、復旧できないとの連絡を受けた。このような短時間で本当に診断してくれたのか」といった声も寄せられています。

サブスクを利用した新たな手口も登場

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