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健康志向に応えるチョコ風味菓子の「意外な」原料 「失敗」から誕生、高騰するカカオの代わりに

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 9時0分

食品の代替品といえば、環境負荷が高い肉を大豆に置き換えた「大豆ミート」が思い浮かぶが、日本では日常食としてまだ広く浸透していない。

一方、あじかんは「ゴボーチェ」を、単なるチョコレートの代替品として考えていない。

その理由として龍地氏は「代替品という位置づけは、もともとの課題が解消された際に不要となる可能性があるため、製品寿命が短く終わるリスクも含む」ことを挙げる。

加工条件を工夫することでゴボウの多様な食べ方を提案し、「消費者の食の選択肢を増やすことが重要だ」と指摘。単なる代替品でなく、例えば「カニカマ」のように独自の価値を持つ製品として消費者に受け入れられる存在を目指しているという。

ゴボウの国内⾃給率は7割弱と高い。このため、「ゴボーチェ」は需要に応じて、量産は可能だという。

とはいえ、懸念材料もある。近年の夏の猛暑や気候変動は、ゴボウの収穫にも影響を与えているからだ。首都圏のスーパーに並んでいるゴボウも何となく細くなっている。

龍地氏は「(主要生産地の)青森県でも近年の猛暑で、ゴボウが育てづらくなっており高温障害が起きている」と懸念を示す。夜間に気温が下がらないとゴボウが太くならず成長しないため、その栽培適地が山間部に近い場所などに移動してきている傾向があるという。

カカオ豆の高騰と主要産地の窮状

一方、カカオ豆の国際価格は2年前から約4倍に跳ね上がっている。昨年12月には一時1トン当たり1万2000ドル近くの史上最高値(終値ベース)をつけた。専門家の間では今後価格が大幅に下落するとの見方は少ない。

カカオはもともと中南米が原産だが、西アフリカのコートジボワールやガーナなどが世界全体の生産量の約7割を占める。日本は主にガーナから輸入している。

西アフリカでは、貧困や疫病といった従来の問題に加え、昨年は気候変動に伴う干ばつや洪水にも直面した。またカカオ農家の児童労働や森林伐採なども問題視されている。

日本ではまもなくバレンタインデーを迎える。2月は年間チョコレート支出額の2〜3割を占めると言われている。外国産の高級チョコレートへの需要も高まる。

しかし今年はチョコレートの価格上昇が、恋人や配偶者への「本命チョコ」、会社関係者への「義理チョコ」、友達同士で贈り合う「友チョコ」などにも影響を及ぼしそうだ。

この機会に伝統的な国産素材を活用したサステナブルなスイーツとして「ゴボーチェ」を選択肢に加えてみてはどうだろうか。

伊藤 辰雄:ジャーナリスト

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