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松屋が「本気のガチ中華」で投入した商品の"正体" 「中華一番」の作者も唸る「水煮牛肉」の実力

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時40分

さらに2000年代には「冬のソナタ」の大ブームから今度は韓国料理による激辛ブームが追随した。

2000年代の半ばになると、世界一辛い唐辛子を謳うハバネロを使った菓子「暴君ハバネロ」が発売されるなど、これまでの激辛ブームよりもより一層の辛い、常識はずれの辛さを追求した”超”激辛ブームが起こる。激辛ラーメンの「蒙古タンメン中本」が注目され始めたのもこの頃だ。

さらに2010年代半ばから現在では、辛さに加えて「痺れ」の味覚もブームに加わった。四川料理に多く使われる山椒による舌がピリピリと痺れる感覚にハマる人が続出。辛さと痺れを表す「麻辣(マーラー)」という言葉から、「マー活」という言葉も登場した。

こうした麻辣系の四川料理が楽しめるイベント「四川フェス」は年々盛り上がりを見せており、四川風の担担麺や麻辣湯(マーラータン)、火鍋の専門店も人気だ。

松屋の「水煮牛肉」は激辛のインパクトが強かったが、四川料理だけあり山椒の痺れも感じられた。こうした現代の激辛トレンドに則った味覚であることも「水煮牛肉」が支持された要因のひとつだ。

居酒屋でも中華人気高まる

さらに、近年の外食業界での中華人気には目を見張るものがある。もともと中華料理は多くの人に親しまれているが、ここ数年でさまざまな飲食店へ中華が侵食しているのを感じている。

筆者は外食ライターとして活動するが、特に専門分野としているのが居酒屋業態だ。居酒屋を見続ける中、中華に特化した居酒屋がコロナ禍以降増えている。

コロナ禍では居酒屋が通常営業できない中、多くの店がデリバリーやテイクアウトに取り組んだが、その時に売れ行きが良かったのが中華の品だという話はよく聞いた。中華料理は大鍋を使い強い火力で炒めるものや揚げ物も多く、意外と自宅では作れそうで作れないものも多い。そうした点から人気を集めたのではないか。

数年前からの町中華ブームや先述のガチ中華ブームも手伝い、今や中華は居酒屋の人気ジャンルに。ガッツリ系の中華で酒を飲む店から、ワインと中華のペアリングを打ち出したビストロ風の店まで、スタイルも多様化した。

また、特に中華と謳っていない居酒屋にもよだれ鶏や麻婆豆腐などの中華メニューがラインナップしていることも増えた。店側には、「みんなが好きな中華を出せば間違いない」という認識が広がっている。中華は味が濃かったり辛かったりするものも多く、ついついお酒が進むためドリンクの売り上げを取りやすいという狙いもある。

こうした背景に加え、松屋のマーケティング努力の積み重ねもあるだろう。松屋はこれまでもさまざまな期間限定メニューを打ち出し、巧みな話題づくりをしてきた。

それにより「松屋がまた何かやってるよ」という認識ができつつあり、話題が広がりやすい土壌ができていたことも「水煮牛肉」のヒットの要因だ。

関連記事:松屋「うっかり千円超え」を続出させる巧みな戦略 シュクメルリの大ヒットから、値付けの妙を考える

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大関 まなみ:フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人

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