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人のみならず犬でもアレルギーが急増する理由 アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを防ぐには

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時0分

犬の皮膚の病気は多く、約半分がアトピー性皮膚炎、残る半分が食物に対するアレルギー反応だと報告されています(写真:yod67/PIXTA)

2030年には2人に1人がアレルギー患者となると言われるほど、身近な病となった「アレルギー」。近年は、犬や猫など、人間と暮らすペットのアレルギーも増えてきている。なぜペットのアレルギーが増えてきているのだろうか。

自身もアレルギー患者である医療人類学者の著者が、5年以上かけて調査・執筆したテリーサ・マクフェイル『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』の日本語訳が刊行された。「肉アレルギー」などの食物アレルギーをはじめ、花粉症や喘息、アトピーなどのアレルギーと闘う医療関係者や患者に取材を重ね、アレルギーの全貌に迫る「アレルギー大全」とも言うべき書だ。

「『アレルギー』には研究テーマのヒントもたくさんありました。間違いなく、ここ数年でいちばん刺激を受けた本でした」と語る東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授は、人間と動物のアレルギーの発症や増悪メカニズム、予防・治療法を研究する中で、最近の動物アレルギーについてどう考えているのか。前編・後編と2回に分けてお届けする。

犬はアレルギーという炭鉱の「カナリア」

本書に、ペットは環境変化という炭鉱の「カナリア」だと書かれていますが、私も獣医として、犬は現代的な生活環境におけるカナリアのような存在だと感じます。人間よりも、人とともに暮らす犬のほうが、時にアレルギーの感作・感受性が高いのではないかと感じたりします。犬は自分の状態を口で説明し、症状の悪化をうまく回避できないというのも1つの要因だと思います。

【写真を見る】知られざるアレルギーの全貌を解説した新刊書『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』

腸内細菌が乱れるとアレルギーを発症しやすくなると多くの研究で証明されています。現在多くの研究者が、そのメカニズムを解明しようと研究を進めていますが、私もその1人です。その過程で、人のみならず犬ではどうだろうかと、アレルギーを患った犬の腸内細菌を調べてみました。その結果、一部の犬では人間の患者さんの腸内細菌叢よりも乱れており、実験で用いるモデルマウスのような重篤な状態が観察されました。

犬は、飼い主の顔や手のみならず、私たちが家の中で使っているものを、匂ったりなめたりする習性があります。一方で、人は犬と一緒に心地よく住むために、頻繁に消臭剤やシャンプーなどの化学物質を使っているかと思います。しかし、「体臭がなく、清潔でかわいい犬」であってほしいがための飼い主さんのさまざまな工夫は、実は犬の腸内細菌や上皮にダメージを与えている可能性があります。

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