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人のみならず犬でもアレルギーが急増する理由 アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを防ぐには

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時0分

人間が犬と心地よく過ごすために工夫し、おカネをかけても、逆に犬の健康を損なっている可能性は否定できないと思います。

人間に管理された犬が食物アレルギーを起こしている

犬の皮膚の病気は多く、約半分がアトピー性皮膚炎、残る半分が食物に対するアレルギー反応だと報告されています。

以前は、犬はアトピー性皮膚炎が多いと思われていました。しかし、ここ10年ほどで、研究が進み、ペットフードを変えると治る皮膚炎が多いことがわかり、犬にも食物誘発性の皮膚炎、人で言う食物アレルギーが多いということがわかってきました。

人間なら、カニを食べ始めて発症するなど、新たな抗原を摂取し、体が暴露されるきっかけがありますが、犬の多くは、長期間にわたり同じペットフードを食べたりしているのに、そのフードに対してアレルギー反応を示すようになるというのは、不思議ですよね。

管理されて、人間が決めたものを主に食べているのに、腸内細菌のバランスが崩れて免疫反応が起きるわけです。研究者が抗生物質などを投与してアレルギーモデルを作る実験動物とは違い、犬や猫はアレルギーを自然発症するモデルとしても非常に興味深いものです。

我々が着ている衣類や生活環境から、洗剤の界面活性剤が検出されることがあり、これらの人工化学物質が、アレルギーの感作(抗体の産生)に重要な皮膚や腸のバリアや腸内細菌を乱す原因になる可能性が示唆されつつあります。

実際に、私も犬の便を成分解析していたら、洗剤や歯磨き粉などの成分を検出したことがあります。

ちなみに、人間も完璧なうがいをしているわけではありませんから、同じように、少なくとも一部は飲み込んでいるでしょう。どれも、安全性が確認されている商品ですから、少量飲み込んでも大きな問題が起こることはありません。使用することによるメリットが大きいのは間違いありません。

しかし、我々の生活環境には、実にさまざまな人工化学物質が存在する、というのは皆さんも理解されていると思います。人が使用する医薬品のみならず、ペットやガーデニングで使う、抗菌剤、抗寄生虫薬、抗生物質などが本書にも挙げられています。近代的なライフスタイルの総体が私達、そして人と生活を共にする動物の状態に、緩徐に与える影響は今後評価していく必要があります。

この本で書かれているように、他の病気と違い、アレルギーという言葉が包含する病態の幅は非常に広範です。つまり、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息、といっても、患者さんそれぞれの病態はとても複雑かつ、それぞれが全く異なります。また、環境や体調に左右されて、日々その状態が変わります。

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