人間が「工夫すればするほど増える」アレルギー 残念ながら現代社会では避けられない疾患
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時1分
自身もアレルギー患者で父を蜂アレルギーで亡くしている医療人類学者の著者が、5年以上かけて調査・執筆したテリーサ・マクフェイル『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』の日本語訳が刊行された。花粉症や喘息、アトピーなどのアレルギーと闘う医療関係者や患者に取材を重ね、アレルギーの全貌に迫る「アレルギー大全」とも言うべき書だ。
「『アレルギー』は大事な一冊だと思います。今の時勢からも、やはりちゃんと読んで理解しておかなければいけません」と語る東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授は、人間と動物のアレルギーのメカニズムや予防・治療法を研究する中で、現在のアレルギーをめぐる課題についてどう考えているのか。前編に引き続きお届けする。
現代社会は化学物質まみれ
現代人にとって「きれい」という言葉は、絶対的な善を意味します。「きれい」を求め、さまざまな工夫が凝らされています。
【写真を見る】知られざるアレルギーの全貌を解説した新刊書『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』
例えば今私たちが話しているこの部屋の壁や天井には、カビ1つ生えていません。腐らず、匂わず、べとつかず、カビず、これらはすべて菌が増えないようあらゆる工夫が凝らされているからこそ実現しています。皆さん自身が普段これらの事実を意識することはないと思いますが。
腐りにくい加工食品、生乾きを防ぐ洗剤、カビの生えない壁の材料やコーティング、汗をかいても匂わない消臭剤やスプレーなど、これらの商品や技術は、食品に関しては食中毒のリスクを減らすなど、私たちの生活に多くのメリットを提供してくれることに違いありません。
「匂わない」は社会生活におけるマナーの1つにもなっています。化学物質に付与される3CASナンバーは、現在3億以上あるそうです。科学の発展とともに、今後も人工的な化学物質の数は増え続けるでしょう。人間の英知の結晶ともいえます。
ただ、アレルギーの発症や、その原因の1つとされる私たちのお腹の中の腸内細菌叢の減少、皮膚などの上皮のダメージという観点からみると、いいことばかりでもないようで、今後精査していく必要があると思います。都会に生活する西洋人の腸内細菌叢の多様性は、原始的な生活をする先住民のそれと比較して約20%減少していたそうです。
本書にもアレルギーは人類が工夫すればするほど増える、今や避けられない病気の1つであると書かれています。私も同じ認識です。
アレルギーは贅沢病か?
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