天然ガス世界5位の生産国カナダの「見事な決断」 ウクライナ侵攻によるエネルギー危機を救う
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 16時0分
「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」。トランプ次期大統領の発言でカナダが揺れている。その余波は9年続いたトルドー首相の辞任につながり、次期政権は今年のG7議長国としても難しい舵取りを迫られる。
そんなカナダだが、日本にとっては自由・民主主義・人権重視を共有する外交パートナーとして近年、存在感を高めてきた。
さらにカナダは「準・超大国」と呼ぶべき潜在力を秘めている。食糧やエネルギー豊かな資源大国、ノーベル賞学者を育んだAIや量子技術の開発国、地球温暖化対策の先進国、そして移民立国など多様な側面を持っているのだ。
留学・移住先として、また『赤毛のアン』などの文化や大自然のイメージでも日本での人気は高いが、案外知られていないカナダの素顔を紹介する(山野内勘二著『カナダ―資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」』より一部、抜粋・編集してお届けします)。
ウクライナ危機とエネルギー情勢
ロシアのウクライナ侵略により、国際市場は乱高下し、エネルギーをめぐる情勢が歴史的な転換点を迎えつつあることが浮き彫りとなった。そして、資源大国カナダの存在感と役割が一層大きくなっている。
実際に何が起こっているのかを理解するために、時計の針をウクライナ侵略の前に戻してみよう。
2022年2月24日以前の世界では、地球温暖化対策がグローバルな課題として最重要視されていた。エネルギー源として、太陽光や風力などの自然エネルギーを推進し、化石燃料の抑制が世界の潮流であった。
そして、化石燃料の中では、石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出が少ない天然ガスに注目が集まり、世界各国で、石炭・石油から天然ガスへの転換が進んでいた。
そして、天然ガスの世界1位の輸出国がロシアであったのだ。ちなみに、石油輸出量でも世界2位。その存在感は非常に大きかった。
ウクライナ危機発生前のG7各国のロシアへのエネルギー依存度を見てみよう(図表1※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
アメリカとカナダは、エネルギー自給率が100%を超えている。
日本も、1次エネルギーの輸入先の多角化を進めており、アメリカとカナダほどではないが、極端にロシアに依存しているわけではない。しかし、イギリス・フランス・ドイツ・イタリアの対ロシア依存度は高く、特にドイツは、石油34%、天然ガス43%、石炭48%を依存している。
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