2025年は「子どもの心が動く声かけ」から始める 「リラックスしてね」のいったい何が問題なのか
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 11時0分
ここまで紹介したように、子どもの行動を変える声かけのポイントは、「禁止」ではなく「提案」に切り替えること。そして、「緊張」を意識させるのではなく、「楽しむ」意識を引き出すことです。禁止や緊張という言葉に執着することから親も指導者も離れる必要があります。いつまでも、そこに執着するのではなく、別に振り向けるのです。それが、新しい「提案」です。
以下の具体例を参考にしてみてください。
◉スーパーで走り回る子どもには、「走らない!」ではなく「カートを押すのを手伝ってくれる?」または「ゆっくり歩こう」
◉公園で興奮している子どもには「危ないから走らない!」ではなく「あそこのベンチまで歩いて競争しよう!」
◉緊張している子どもには「リラックス、リラックス」ではなく、「みんなに話すのを楽しんできてね!」
◉ピアノの発表会前に「頑張ってね」ではなく「楽しんで弾いておいで」
このような声かけを習慣化することで、子どもの行動が変容するだけでなく、親子のコミュニケーションも驚くほどスムーズになり、親子ともに笑顔で過ごせる時間が増えると思いますので、ぜひ試してみてください。
筆者が実際に体験した例をご紹介します。筆者の息子が小学生だったころ、運動会のリレーでスタートを控えているときに非常に緊張している様子を見て、「頑張って!」と言おうとしました。しかし、直前に「楽しんで走ることだけ考えればいいよ」と伝えると、息子は「うん、わかった!」と笑顔で返してくれました。その後、息子はプレッシャーに負けることなく、全力で楽しんで走り、3人抜きをしました。その後、子どもに感想を聞いたら「超楽しかった!!」と返ってきました。この経験は、「楽しむ」という言葉の力を実感するきっかけとなったことを今でも思い出します。
今年は「心が動く声かけ」で親子の絆を深めよう
子どもの成長には、親の声かけが与える影響は小さくありません。単なる注意や禁止ではなく、意識を切り替え、ポジティブな行動に導く声かけを意識することで、親子関係はさらに深まります。
「走らない!」ではなく「ゆっくり歩こうね」、「リラックスしてね」ではなく「楽しんでおいで」という言葉を使うだけで、子どもの行動や気持ちは変わります。今年はぜひ、「子どもの心が動く声かけ」を実践してみてください。親子で笑顔が増える1年になることを心から願っています。
石田 勝紀:教育デザインラボ代表理事、教育専門家
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