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あんなに愛された街が…「立石再開発」微妙な現状 怒涛の再開発計画掲げる葛飾区に住民が疑問

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 9時20分

1階より3階のほうが権利床の評価額が高い?

区の説明からは増える建設費は区が負担し、何としてでも再開発を進めたい、という思いが汲み取れるが、これに対して住民側は土地の対価に対してビルの床を得る「権利床」が不当に高すぎることを問題視している。

「葛飾区が取得する東棟3階フロアの権利床の評価額は1㎡当たり98万8215円ですが、同じ棟の2階フロアの評価額は1㎡当たり45万2234円です」と「無駄な税金投入を許さない新庁舎問題住民訴訟を進める会」代表の今井賢吾さんは説明する。

「一般に商業ビルでは1階の価格が最も高く、その次に2階、3階と階数が上がるごとに安くなるものです。ところが葛飾区は2階の2倍以上の額で3階フロアを取得しています」

再開発認可にあたり縦覧されていた資料で見ると広さ、位置によっては1階でも3階より安い区画もあり、3階の価格の高さは常識とは大きく異なる。

そこで、今井さんらは、2階との差額53万5981円に3階の取得面積を乗じた7億1610万2775円の権利床を放棄し、区に損害を与えたと訴えているのだ。

また、前述の通り区は権利床の評価額が高い理由として、内装や設備などにかかわる費用が含まれていることを挙げているが、住民側はこの点にも疑義を呈している。

内装などは入札含め適正な契約手続きを経たうえで備える必要があるので、民間事業者が作ったものを後から権利変換で取得するやり方は地方自治法に違反するのではないかというのだ。

建設費の高騰を税金で賄うことを問題視

さらに葛飾区は今後、東棟4〜13階も購入することを想定しているが、これらのフロアも建設費の高騰を埋めるために不当に高く購入するのではないか、と懸念している。

「葛飾区はこれまでも、再開発ビル・リリオ亀有のリノベーション事業や、金町6丁目駅前地区の再開発でテナントが決まらなかったフロアを、用途を決めないままで買い取るなどに税金を使い、一方で新小岩、細田などの児童館、小菅、高砂の保健センターを廃止するなど生活に密着した部分のコストをカットしてきました。またかという思いです」と今井さん。

葛飾区では2017年、2021年の区長選でこうした無駄遣い反対派が立て続けに立候補し、現区長に対峙。2017年には5万票、2022年には6万票と確実に票を増やしてきた。次の区長選は今年行われる。

今回の住民らによる訴訟では、区長に損害賠償を求めるのが便宜的には裁判の目的だが、それ以上に区政を変えたい、市民に益のないような税金の投入を許さないという意図もある。実際、葛飾区では立石だけでなく、複数の再開発や開発計画が持ち上がっている。

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