あんなに愛された街が…「立石再開発」微妙な現状 怒涛の再開発計画掲げる葛飾区に住民が疑問
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 9時20分
「再開発は金町駅近くの東金町1丁目西地区でも進められていますし、区は東新小岩の私学事業団の運動場を購入し(当面はそのまま区民に開放するものの)、いずれはサッカースタジアムを建設する予定です。時期はいまのところ未定ですが、区の資料ではJリーグのスタジアム基準である入場可能数1万5000人規模での整備が想定されています」と今井さんは説明する。
サッカースタジアム予定地の購入額は約325億円。2023年の資料では想定建設コストは約130億~150億円とされていたが、2024年の取材時点で2割増えるという話が出ているという。こうした施設は作って最後ではなく、維持管理にも毎年費用がかかると考えるとかなりの出費が必要な計画である。
新小岩駅と金町駅を結ぶ新路線の計画も
さらに鉄道の計画もある。それが総武線の新小岩駅と常磐線金町駅を結ぶ新路線。ここには大正期に整備された単線、約7キロの新金貨物線があり、近年では運行本数は減少している。構想ではこの路線上に7~10駅を新設、約10分間隔で列車を運行し、新小岩駅~金町間を20分ほどで結ぶという。
近くには映画『男はつらいよ』の舞台として知られる柴又帝釈天があるため、観光客も含めて1日4万人ほどの利用を見込み、整備は2022年時点の新聞報道では200億~250億円とされていた。
そのために基金も積み立てているという話だが、こちらも整備にかかる費用は上昇しているはず。沿線を開発して宅地化という意図もあろうが、思惑通りに売れるかはわからない。新たに線路を敷く計画に比べれば比較的リーズナブルかもしれないが、こちらも維持管理費が必要な事業だ。
こうした開発を無駄遣いと受け止める住民たちは訴訟を通じて、また、今年行われる次期区長選で事態を変えていきたいというわけだが、それが実現したとしてもすでに解体工事に着手し、動き始めている京成立石駅北口の再開発が止まる可能性は極めて低い。
となると、今後も区が高騰する建築費を負担し、完成後の建物を高額で購入するのはもちろん、場合によっては再開発組合に加わった地権者が建築費等の不足分を埋めるために賦課金を支払う羽目になることも想像される。
その場合、区も大口の地権者であることから賦課金の支払いは免れないだろう。税金を投入して再開発を行い、税金で保留床を購入、さらに税金で賦課金を支払うわけで、素人の私にはこの事業による区のメリットがどこにあるのかがよくわからない。
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