東武8000型「通勤車のロングセラー」が放つ存在感 20年間に712両製造、豊富すぎるバリエーション
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 6時30分
1両の長さ20m、側面には4つの「両開き」の扉――。昭和30年代以降、全国に広がった通勤電車の基本形だ。ラッシュ時のスムーズな乗降と大量輸送に適したスタイルは国鉄・JRや首都圏大手私鉄をはじめ多くの鉄道会社が採用。数多くの名車が生まれ、高度経済成長期の通勤を支えた。
私鉄でその代表格といえるのが、東武鉄道の8000型だ。白い車体に青と水色のラインを巻いた車両といえば、東武線ユーザーなら一度は見たことがあるだろう。初登場は東海道新幹線の開業より前の1963年。その後20年間、1983年まで計712両が造られた。1つの形式としては現在に至るまで私鉄最多の両数を誇る。
大量輸送時代の申し子
長年「東武の顔」だった8000型は、すでに東武スカイツリーラインや東上線の池袋寄りなど都心部の主要区間からは撤退。廃車も進み、2024年11月時点では最盛期の約4分の1まで減った。それでも182両が現役で、東武アーバンパークラインを走る6両編成を筆頭に、今も存在感を示している。
【写真】東武の「顔」として走り続ける8000型。外観から車内、通常は見られない床下まで、東武アーバンパークラインを走る1972年生まれの6両編成を徹底紹介。貴重な登場時の姿も
東武鉄道に入社以来この車両に関わり続けてきたという、車両部車両企画課主任の泉川友彦さんは、「お客様が急速に増加し右肩上がりだった時代、とにかく車両を造れ造れ、両数を増やせという中で生まれた車両。ラッシュの申し子ですね」と、大量に製造された時代背景を語る。
8000型は、東武で初めて長さ20m・両開き4扉のスタイルとなった車両だ。車体は当時一般的だった鋼製。走行性能の面では、同時期に他社の車両で増えつつあった電気ブレーキは装備せず、空気圧でシリンダーを動かし車輪を止める空気ブレーキだけを搭載した。その一方で、台車は通勤電車にはまだ珍しかった、乗り心地のいい「空気ばね」をいち早く採用した。
約20年の長きにわたって導入が続いたが、すべて同じ形態・編成で造り続けたわけではなく、増え続けた利用者や生活水準の向上に合わせて改良を加え、少しずつ細部が変わっている。泉川さんは、その細かな違いについて「まとめれば1冊の本ができるほど」と言う。
改良を重ねて712両製造
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