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停戦に向けてウクライナに残された3つのシナリオ トランプ新大統領は早期停戦をまとめられるか

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 8時0分

そして同じくウクライナを通ってトランスニストリア(沿ドニエストル)からモルドバを通ってルーマニアに至るパイプライン(トルコからのパイプラインもある)である。

ゼレンスキー大統領がこのウクライナを通過するパイプラインを止めるという。これには、アメリカからの輸入が増えるので、アメリカの陰がちらつくが。これによって困るのは、当然ながら主としてチェコやハンガリー、モルドバ、クロアチア、ルーマニア、トランスニストリアなどである。

2024年12月、スロバキアのロベルト・フィツォ首相(同年、暗殺されかけた人物)がモスクワのプーチンを訪問した。ウクライナからのガス供給と停戦交渉のためである。

ゼレンスキーは、このフィツォとハンガリーのオルバン首相を目の敵にしている。こうして一枚岩だったNATO陣営に大きな亀裂が起きたからだ。

ハンガリーとスロバキアは、国境問題でウクライナと揉めている。ゼレンスキーにとっては銃後から攻撃されたに等しい。

さらに、複雑な問題はモルドバだ。公認された国ではないがロシアは承認している、沿ドニエストル共和国というロシア人が居住する細長い国が、ウクライナとモルドバとの間に存在する。

ウクライナとモルドバの沿ドニエストル共和国への攻撃はこれまでなされていない。それはこのガスパイプラインがそこを通り、ルーマニアまで流れるからである。

「寒い冬」をめぐるEU内部の対立

早速アメリカがガスの供給を申し出たが、価格の点や運搬の点で代替可能なものではない。しかし、そうなった場合、完全にエアーポケットに落ちるのは沿ドニエストルである。ロシアは同地域を守るためには、ヘルソンからオデッサへと兵を進めるかもしれない。

いずれにしろ、東欧地域がウクライナ戦争を停戦するしか寒い冬を越せないとすれば、NATOの介入や今後の支援などありえないことになる。EU内部でこれをめぐって対立が始まっている。

2025年1月20日にバイデン政権はトランプ政権に政権を移譲する。トランプ政権は当初の就任24時間以内から「半年」へと時間を延ばしたものの、「即時停戦」を主張しているので、ウクライナの援助はなくなるだろう。

しかも、NATOにおけるヨーロッパ各国の拠出金の増額も要求している。そうなるとますます、ウクライナの戦争継続が不可能になるだろう。

そこでトランプとプーチンによる停戦提案をウクライナが受け入れるかどうかが問題になる。トランプの提案は、ウクライナが、ロシアが占領した地域を認めること、そしてNATOへの加盟を遅らせることが盛り込まれているようである。

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