「中居氏とフジ」世界が厳しい目を向ける2つの点 日本国内の話題をなぜ各国が報じているのか
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 20時50分
また、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会からも、ジャニー氏の騒動に関して「日本のメディアは何十年もの間、このような不祥事の隠蔽に関与してきた」と指摘されていました。
今回の騒動でも民放各局が「中居さんの出演を見合わせるだけで詳細は報じない」など横並びの対応をしたことで、テレビ業界全体が批判されています。さらにフジテレビは「女性社員の接待疑惑などに対する説明責任を果たさない」などの状態が「いかにもオールドメディアの対応」として批判を受けました。
そしてもう1つテレビ局に対する近年の「オールドメディア批判」で忘れてはいけないのが、ドラマ「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さんが亡くなったことに関する日本テレビの対応。
芦原さんが亡くなった約1カ月後の2月下旬に社内特別調査チームによる調査がはじまり、3カ月後の5月末にようやく結果が報告されました。その間ネット上には調査方法や対応の遅さを批判する声が飛び交い、「だからテレビは……」などとテレビ業界全体の信頼を損ねる結果につながってしまったのです。
一方、今回は週刊誌報道が真実なら、命と同じく尊重されるべき心が失われかねない問題であり、対象者が複数人に及んでいた可能性もあるだけに、フジテレビには日本テレビ以上の対応が求められるでしょう。
フジテレビがその対応を間違えると、またも世界で報じられ、「日本のビジネスシーンでは今なおこのような酷い現状がある」とみなされかねません。しかも2つの厳しい流れがあるため、今後はより多くの国々で問題視されるリスクがあるのです。
初期対応を誤った中居さんとフジテレビ
最後にふれておきたいのは、2つの厳しい流れに飲み込まれた感のある中居さんとフジテレビの今後について。
近年の騒動では、前述したジャニーズ事務所のほか、中居さんと同様に女性トラブルが報じられた松本人志さんも、誠実さとダメージコントロールという2つの観点で初期の対応を誤り、世間の反発を買う事態に陥ってしまいました。事実、ジャニーズ事務所は会見を繰り返したあとに消滅し、松本さんは信頼を失ったまま復帰できていません。
では、今回の中居さんとフジテレビはどうなのか。
中居さんは沈黙を貫いたあと、ようやく9日にコメントを発表。しかし、謝罪こそしたものの「示談が成立し、解決している」「今後の芸能活動についても支障なく続けられる」などの誠実さに欠ける印象のコメントに批判が殺到するなど、ダメージを最小限にとどめたい初期対応としては失敗した感があります。
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