国民・玉木氏「178万円の旗降ろす」場合の絶対条件 「働く現役世代を助ける政策」に全振りした背景
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 8時0分
――「103万円の壁」の見直しをめぐり、自民党内からは、国民民主党の主張する178万円までの引き上げは「所得税だけ大減税で、バランスが悪すぎる」という意見が聞かれます。高額所得者の減税分が大きい、ほかにも負担を減らすべき税金があるのではないか、といった指摘がありますが、これらについてどう考えますか?
進行年度(2024年度)と来年度(2025年度)予算の税収を比べると、国税だけで8.8兆円増えます。地方税は3兆円増えるので、合わせて約12兆円、たった1年で増えるんですよ。
このうち5兆円増えているのが源泉所得税なので、半分弱くらいは国民の所得に関する増加分であると。累進課税で、ここ数年の賃上げもあってより高い税率のほうにボリュームゾーンがシフトしてきているので、そのへんがかなり効いてきている結果です。
なので、もちろんいろいろ減税策を考えていったらいいとは思いますが、この間、所得税がぐっと増えていっていることは無視できない。これを是正するためにも、まず所得税に注目したらどうかと思います。
1年間で12兆円税収が増えるとなれば、仮に7兆円減税したとしても5兆円は増収する。1年間で12兆円を消費税で取るとすると、4.5%分くらいに相当し、かなり大きい。だから1年で5兆円くらいの税収増に抑えたほうが、国民の手取りの増加にも、弱含んでいる消費の活性化にもつながるのではないでしょうか。
何より「103万円の壁」は、最低賃金が上がっていく中で働き控えという供給抑制にもなっているので、この引き上げは需要サイドだけでなく供給サイドを刺激する。消費を活性化しましょうというだけの減税策を超える効果があります。
少なくとも百万人単位の「働き控え」
――一方で、働き控えをしている人は実際どれくらいいるのか、引き上げることで働く人はそんなに増えるのか。実際の効果を疑問視する経済学者などもいますが。
全国に200万人くらいは対象がいると思います。というのも、われわれの同僚議員が香川県高松市の市議会で質問しているんですが、高松市内で働き控えをしている人の数を調べると、約1万6000人いるとわかりました。高松市でこの数字だと香川県全体で2万人くらい。香川県はよく「日本の1%経済」といわれるので、全国だと200万人くらいと推計できます。
いわゆる「働き控え」なので、まったく働いていない人がリスキリングして新しい技能を身に付けてから労働市場に入ってくるのではなく、すでに働いている人が同じ能力で追加的に働いてくれる。これには能力開発のコストもまったくかりません。スムーズに労働力を供給できるので、経済への波及効果も非常に大きいはずです。
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