韓国「尹大統領」拘束されてこれから起こること 韓国人の関心は憲法裁判所に舞台が移った
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 8時0分
ついに現職大統領拘束、という韓国憲政史上初めてのことが起きた。人々の間からは「民主主義の勝利」「リスクは早くに除去するべき」という声がある一方で、「現職の大統領をここまで追い込まなければいけないのか」「やりすぎだ」というため息が入り交じる。
【写真】憲法裁判所には尹大統領支持者からのド派手な花輪が並んでいる
尹錫悦大統領が内乱の疑いで拘束されたのは1月15日午前10時33分。拘束時、高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)の検事が令状を読み上げると尹大統領は、「わかった。行こう」と言い、終始落ち着いた様子だったと伝えられた。
元保護犬に別れの挨拶
公邸にいた与党議員によると、拘束直前には、「妻(金建希夫人)とトリに会ってくる」と言い残し、2階に上がったという。尹大統領は公邸で、数匹の元保護犬と猫を飼っており、「トリ」は2012年に尹大統領夫婦が里親となった。
拘束令状の二次執行のために、投入された捜査官は1100人余り。1月3日に試みた前回よりも10倍に増員され、機動隊も500人増しの3200人、警察車も160台が公邸前に出動した。
一次執行に失敗した後、国会で質疑に応じた呉東運公捜庁長は野党議員から、「撃たれても拘束してきなさい」などと詰め寄られた。捜査機関としても後がなかった。大統領を警護する警護庁の最大700人をはるかに凌駕する、異様な大人海戦術をとった「執念の拘束劇」だった。
拘束後、尹大統領はあらかじめ録画した国民向けメッセージを公開した。拘束令状の執行に応じたのは、「公捜庁の捜査を認めたわけではなく、憂慮される流血騒ぎを防ごうという心情から」と説明している。
これまでと同様、公捜庁に内乱罪の捜査権がないことを強調し、不法が重ねられていることに嘆き、「この国の法が崩壊した」と主張した。しかし、この日、尹大統領の弁護団がソウル中央地裁に請求した公捜庁の拘束令状が適法か否かを審査する「拘束適否審査」は、16日夜棄却された。
公捜庁の調査に応じたのは拘束された15日のみ。応じたといっても一貫して陳述を拒否する黙秘権を行使していることが伝えられ、16日、17日は出頭していない。
一般の収容者とは隔離された待機室に
現在、尹大統領が収監されているのはソウル郊外にあるソウル拘置所だ。ここは朴槿恵元大統領が弾劾、罷免された後、刑事事件により収監された場所でもある。尹大統領は現在、一般の収容者とは隔離され、「拘引被疑者待機室」にいると報じられた。
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