睡眠研究でみる「眠りの質」良い人・悪い人の特徴 「よく寝た」と思っても熟睡できていないことも
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 12時0分
上段の人の睡眠時間は7時間半で、睡眠の“量”は確保できているといえる。一方、下段の人の睡眠時間は6時間程度、少ない気もするが、時間だけ見るとそれほど短いわけではない。
大きな違いは、両者の眠り方にある。
睡眠にはレム(REM=Rapid Eye Movement、急速眼球運動)睡眠とノンレム(non-REM)睡眠があり、ノンレム睡眠はさらに眠りの深さによりN1、N2、N3の3段階に分けられる。
上段の人は最も深い眠りであるN3に何度も入り、それも長い時間維持できている。また、起きている時間(WK)はほとんどない。片や、下段の人はN3に2度しか入らず、かつ非常に短い時間でN2に戻っている。途中で起きている時間も多い。
もう1つ注目したいのは、レム(REM)と呼ばれる睡眠の状態だ。
上段の人はレム睡眠の回数と時間が長く維持されているのに対し、下段の人はレム睡眠の間に何度も目が覚めている。また、ごく浅いノンレム睡眠であるN1が全夜とおして頻繁に現れている。
柳沢氏は「下段の人は眠りが浅く、何度も起きてしまって睡眠を長く維持できない中途覚醒が生じている。つまり、睡眠の“質”が確保できていない」と言う。
ちなみに、レム睡眠というと「夢を見る、浅い睡眠」と一般的には理解されているが、それは最近の考え方からすると間違いで、心身の健康のために重要だと認識され始めているという。
柳沢氏は「レム睡眠は種類の違う深い睡眠で、ノンレム睡眠のN2、N3と同じくらい深い眠りに入っていると考えていい」と説明する。
また、「夢を見るというのは、十分にレム睡眠がとれているという証拠。質の悪い睡眠というわけではない」と付け加える。夢を覚えているかどうかや、悪夢を見たということも、睡眠の質とはあまり関係ないそうだ。
睡眠の質が良い人・悪い人の特徴
柳沢氏は、グラフの上段の人は以下のポイントから「満点に近い睡眠の質」だと評価する。
① レム睡眠が十分にとれている
② 深睡眠N3が十分にとれて中途覚醒が少なく、N1も少ない
③ 全体的に波形の行き来が少ない(つまり、ギザギザな縦線が少ない)
反対に、下段の人は以下の理由から、睡眠の質が悪いという。
① 中途覚醒の頻度が多い
② 浅いノンレム睡眠のN1が多い一方で、N3が少ない
③ レム睡眠の持続性が悪い
「さらに、下段の人は寝つきも悪くて、寝床に入って眠るまで15~20分もかかっている。また、オレンジ色のグラフの下向きの“ヒゲ”のような変化1つひとつが個々の無呼吸であることを表しており、無呼吸が頻繁に訪れていることも問題。SpO2が低い瞬間には70程度にまで低下していて、重症の睡眠時無呼吸症候群が疑われる」(柳沢氏)
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