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睡眠研究でみる「眠りの質」良い人・悪い人の特徴 「よく寝た」と思っても熟睡できていないことも

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 12時0分

柳沢氏は、前述の睡眠の主観的評価と客観的評価についての研究結果を引き合いにしながら、日本人の睡眠不足問題は根が深いと強調する。

「睡眠中の脳波とSpO2を測定した人の17%が、睡眠時無呼吸症候群であることがわかった。しかも、睡眠時無呼吸であることと、昼間の眠気や睡眠の質の悪さを自覚することはまったく関係なかった。 つまり、睡眠時無呼吸症候群のようなケースでは、熟睡していると本人は自覚していても、実は慢性的に熟睡できていない」

そのうえで、「仕事のパフォーマンスが落ちるだけでなく、疾病リスクも抱えることになるので、客観的に睡眠の質を調べることは重要」と話す。

睡眠の質を高めるテクニック

ここからは睡眠の質を高めるテクニックについて、紹介したい。

寝酒という言葉があるように、酒を飲んで寝付きを良くしようと考える人もいるだろう。ところが、端的に言って、睡眠の質に関しては逆効果で、酒を飲んで寝ると眠りの質が悪くなる。なぜなら、寝酒は交感神経が優位になり睡眠を阻害するからだ。

柳沢氏も「私もやってしまうことがあるが……」と自戒の念を込めて、こう話す。

「深酒をすると、数時間後にアルコールから分解されるアセトアルデヒドが交感神経を興奮させる。その結果、就寝中に心臓がドキドキし、覚醒作用で目覚めてしまう。アルコールを飲んで酔っぱらうと眠くなるのは、脳に対する抑制作用の影響だが、これは質の悪い睡眠で、深睡眠もレム睡眠も抑制されるし、睡眠の安定度も悪くなる」

酒に頼らないと眠れない場合は、医師の診察を受けて、睡眠薬を処方してもらうほうが心身のためにベターとのことだ。「正しく服用すれば、睡眠の質を高めることができる」(柳沢氏)という。

睡眠薬には3つのタイプがある。

1つめは、脳内物質であるGABA(ガンマアミノ酪酸)の働きを強める薬。「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と呼ばれる。

高い効果がある反面、依存性や効果が薄くなると服薬量が増えるといった耐性があるほか、反跳性(はんちょうせい)不眠といって、急に服用を中止すると服用前より強い不眠が表れるようになる。

2つめは「メラトニン受容体アゴニスト」という薬で、脳で作られる昼夜のリズム(体内時計)を調節するホルモン、メラトニンを模倣する。飲み続けることで不眠を解消する。

3つめが、オレキシンの働きを阻害する「オレキシン受容体拮抗薬」。依存性や耐性、反跳性不眠はなく、眠れないときに頓服的に飲める。夢見が多くなると訴える人が多いが、これはレム睡眠が増えるためだ。

睡眠の質は減点法で考える

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