大河「べらぼう」に続「虎に翼」を期待する理由 朝ドラ好きで大河が苦手な私の感じた魅力
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 9時0分
最初に言っておくと、私はNHKが大好きで日々NHKばかり熱心に見ている「NHK党」なのだが、さらにいえば「朝ドラ党」であり、大河ドラマに関しては『いだてん』(2019年)以来見ていない。
理由は、昭和のうちに培われたいわゆる「大河的なるもの」が嫌い、いや苦手だからだ。
戦(いくさ)や合戦(かっせん)を舞台として、眉間にシワを寄せた男と男が命を賭けて戦いまくり、画面が刀と血と炎と馬でいっぱいになるという私の「脳内大河」が、視聴意欲を未だに減退させる(最近の大河には、かなり変化が見られることを、薄々勘付いてはいるのだが)。
「大河的なるもの」とは違う方向性の『べらぼう』
しかし『いだてん』のときも、そうだったが、今回の『べらぼう』には、「大河的なるもの」とはまったく異なる方向性を感じた。まずもって、公式サイトの触れ込みからして、ノリが違う。
――日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き 時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物 “蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯。笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマ!(改行省略)
「ポップカルチャー」「笑いと涙と謎」と来たもんだ。さすがにちょっと軽すぎるきらいもあるが、少なくとも、重々しく陰鬱な私の「脳内大河」とは、かなり違いそうだ。
NHKが勝負に出ている感じがする。勝つ可能性、つまり、私のような新規層の流入、ひいては、大河という枠自体のアップデートに成功する可能性も低くはないと見た。
というわけで今回は、『べらぼう』を見始めた「朝ドラ党」が感じた魅力と期待を語ってみたいと思う。
「新しい大河」への期待
私が魅力に感じたポイントの1つ目は、先に書いたことの繰り返しになるが、戦や合戦が出てこないことだ。
蔦重が生まれたのは1750年で、47歳と若くして亡くなるのが1797年。つまり彼の人生は「18世紀後半」にすっぽり入る。
この時期の日本は、徳川幕府が安定期に入り、国内で争いがほとんど起きない、言わば「凪」のような時期だった。だからか、江戸時代中期=18世紀後半を描くのは、何と大河ドラマ史上初だという。
眉間にシワを寄せた男と男が命を賭けて戦いまく――らない、画面が刀と血と炎と馬でいっぱいにな――らない、新しい大河への期待が高まる。
次に、主人公・蔦重を演じる横浜流星の魅力だ。イケメンなのだが、顔立ちも身体も、どこか中性的で、また口調や身のこなしも軽薄そうで、つまりはマッチョなイメージではないところが好ましいと思った(格闘家を目指していたという本人の肉体は、いわゆる「細マッチョ」だが)。
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