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中居騒動でフジが露呈「日本的組織」の根深い問題 いかに内部が狂っていても外まで伝わらないワケ

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時40分

その手口は、仕事と偽って自社の事務所やホテルの部屋に、複数の人が集まるミーティングやパーティが開かれると思わせて呼び寄せ、いざ到着するとそこにはバスローブ姿のワインスタインだけがいて、マッサージや性行為を要求するというものであった。

「#MeToo運動」が世界的な運動に発展していくきっかけとなった事件であり、覚えている人も多いだろう。

ワインスタイン事件以降、絶大な地位と権力がある人物が、その立場を悪用したときに何が起こるのか、なぜ性的な嫌がらせや性的虐待が企業や業界、ひいては社会において野放しにされてしまうのか、といった問題意識が人口に膾炙し始めた。

そして似たような被害を受けた人々が積極的に告発をするようになった。この一連の現象は「ワインスタイン効果」と呼ばれている。

中居騒動でも「ワインスタイン効果」は起きるのか

もし、今回の中居氏のトラブルが週刊誌の報道の通り、フジテレビ幹部のとりなしと関係するもので、同様の行為を組織として、あるいは個人ベースでも相応の役職者が容認していたのであれば、とてつもない衝撃が走るだろう。

一般に、テレビ局は映画会社よりも企業規模が大きいため、相当数の人々がこの異常な慣習を知っていたことが容易に想像できるからだ。

だとしたら、なぜ週刊誌が取り上げるまでスキャンダルが表に出ず、その後、多くの報道が行われるようになっても、暖簾に腕押しといったような鈍い反応しか返ってこないのか。以前、筆者はジャニーズ問題でも同様の指摘をした(「日本的な通過儀礼」ジャニーズが他人事でない訳)。

とくに日本では、企業などの社会組織が「運命共同体」としての性格を帯びることが密接に関係している。これは社会学者の小室直樹が言っていたことである。

小室は、日本の社会組織は「運命共同体的性格」を持ちやすく、さらに「共同体構造は、天然現象のごとく不動のものにみえてくる」と述べ、「共同体における慣行、規範、前例などは意識的改正の対象とはみなされず、あたかも神聖なるもののごとく無批判の遵守が要求される」とした(『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』ダイヤモンド社)。

「日本では、企業は経営者と従業員との運命共同体である。(略)共同体は彼らの社会生活のすべてであり、独特のサブカルチャーを発達させ、一種の小宇宙を形成する」――共同体のメンバーになると、次第に共同体の外部に対する敏感さが失われ、関心のほとんどが内部に集中するようになってしまう。

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