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中居騒動でフジが露呈「日本的組織」の根深い問題 いかに内部が狂っていても外まで伝わらないワケ

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時40分

そして、仮に世間を震撼させる不祥事が起こっても、内部にばかり目が向いているので、まず共同体が求める要請が絶対視され、犯罪行為ですら黙認される事態が起こり得るのだ。

やがて内部でどれだけ異常な言動がなされていても、感覚的にはおそろしく鈍感になっていくのである。そうなると、告発するという発想そのものが消え失せるのだ。

戦時中の日本軍では、似たような状況は多発していた

この二重規範(ダブルスタンダード)とでもいうべき日本の特色は今に始まった話ではなく、かつて評論家の山本七平が旧日本軍の内務班で体験したリンチと非常に似通っている。

すさまじい暴力が横行していた一方で、暴力の禁止が厳命されていた矛盾である。

たとえば私が入営したのは、「私的制裁の絶滅」が厳命されたころで、毎朝のように中隊長が、全中隊の兵士に「私的制裁を受けた者は手をあげろ」と命ずる。

中隊長は直属上官であり、直属上官の命令は天皇の命令である。軍人は忠節を尽くすのが本分だという。忠節とか忠誠とかいう言葉が、元来は、絶対に欺かず裏切らず、いわば懺悔の対象のような絶対者として相手を見ることなら、中隊長を欺くことは天皇を欺くこと、従って軍人勅諭に反するはずである。

だが昨晩の点呼後に、整列ビンタ、上靴ビンタにはじまるあらゆるリンチを受けた者たちが、だれ一人として手をあげない。あげたら、どんな運命が自分を待っているか知っている。従って「手を挙げろ」という命令に「挙手なし」という員数報告があったに等しく、そこで「私的制裁はない」ことになる。

このような状態だから、終戦まで私的制裁の存在すら知らなかった高級将校がいても不思議ではない。(一下級将校の見た帝国陸軍/文春文庫)

つまり、実際に目の前に理不尽な暴力が存在しているものの、それは内部的には実数としてカウントされる出来事とは把握されず、外部に訴え出ることなどは考慮の外となる。

この二重規範は、今日、日本の企業内で起こる諸問題においても変わらない。今回報じられた"システム"のエピソードが事実であり、何ら改善されず放置されていたとすれば、それは決して特殊なものではなく、前述した日本の多くの社会組織が抱える共同体的悪夢の一例といえるだろう。

中居氏のトラブルから始まったフジテレビをめぐる疑惑がここまで人々の高い関心と怒りを誘い、とりわけ事案の重大性に対する認識の薄さと自浄作用のなさに批判が集中しているのは、身近な職場などで同種の根本的な問題が威圧や暴言といったハラスメント、性的嫌がらせなどを温存させていることに気付いているからなのだろう。

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真鍋 厚:評論家、著述家

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