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海外記者が見た「日本の中居報道」に潜む異常さ サルを追いかけるのにはヘリコプター使うのに

東洋経済オンライン / 2025年1月20日 8時0分

(撮影:今井康一)

中居正広のスキャンダルをどう 「語らない」かーー。フジテレビをはじめとする日本の主要メディアは、『週刊文春』をはじめとするいくつかのメディアが中居による「女性トラブル」を暴露して以来、この疑問に果敢に挑んでいる。この種のスキャンダルは日本に限ったことではないが、日本が特別なのは、メディアが自主性をもって説明責任を求めようとしないことだ。

【写真】フランスの大手紙『ル・フィガロ』に掲載された"中居問題"に関する記事

フジテレビが「裏切った」もの

当初、フジテレビがしたのは、報道された特定の幹部社員の関与をプレスリリースで否定することだった。同社によると、上述の幹部は会食のことを知らなかったと主張しているが、中居や女性を呼び出して双方の言い分を聞くこともなかったようだ。

女性は問題があった初期にフジテレビ幹部に報告したとされるが、そのときに同社はどう反応したのか。彼女を突き放して辞職に追い込む一方で、中居を支持し、この出来事を「なかったこと」にすることだったのではないか。そのような疑問にはフジテレビは何ら答えようとしていない。

日本の企業はしばしば、自社の利益を追求するだけでなく、従業員や株主の利益や公的利益を等しくバランスさせていると主張する。しかし、今回フジテレビは、哀れな女性に背を向け、自社の利益のためにその3つをないがしろにしたのだ。

ところが、これに対する日本メディアの反応も、せいぜいフジテレビと中居の公式リアクションの切り貼りで、それ以上の質問はない状況が続いた。

「被害者が口を割らないので、何が起こったのかわからない。どうしたらいいのだろう?」と日本のあるジャーナリストは嘆く。しかし、昨年12月に『日本経済新聞』がホンダと日産の合併が発表されそうだとスクープしたとき、テレビの取材班はホンダCEOの早朝のランニングに直撃し、質問した。

日本のメディアはなぜ、中居のような社会的関心の高いスキャンダルについて、同じようなスタミナを示せないのだろうか?

どうでもいいことの詮索は頑張る日本のメディア

私のような"外部者"を真に困惑させるのは、日本社会ーーとりわけメディアーーの性的問題に対する鈍感さ、あるいはプライオリティの低さである。

日本のメディアは日常的にどうでもいいことの詮索には躍起になる。最近ではG7での石破首相の座り方を「解剖」した。20人規模のデモやサルを捕獲する人たちを追うためにヘリコプターを飛ばす。

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